なぜ「鳥貴族」の値上げは、1回目で批判されて、2回目は無風だったのか:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
外食チェーンで「値上げ」が相次いでいる。スシローもくら寿司も値上げしたところ、ネット上で話題に。「もう行かない」という声が出ているが、値上げの先輩「鳥貴族」はどのようにして乗り切ったのだろうか。
日本の「エラそうな顧客」
このような鳥貴族のケースを踏まえれば、外食企業はもっと「値上げ」に積極的になってもいいはずだ。確かに当初は、ボロカスだろう。「客をナメているのか」「企業努力が足りない」などと散々嫌味を言われて、客足もにぶるだろう。
これは国民性なのでしょうがない。実は日本人は「世界一顧客サービスにうるさい国民」だからだ。鳥貴族が値上げをした17年、アメリカン・エキスプレス・インターナショナルが興味深い調査を公表した。
日本を含む9市場(日本、米国、カナダ、メキシコ、イタリア、英国、インド、香港、シンガポール)で各1000人ずつ計9000人の消費者に対して、顧客サービスに対する意識や考え方をインターネットでアンケートをとったところ、 「一般的に企業の顧客サービスにはどのような感想をお持ちですか?」という問いに対し、日本は「期待を上回る顧客サービスを受けている」(4%)、「期待通り」(41%)を合わせても45%と半数を割って、9市場中で群を抜いて低い結果となった。同じ回答をみると、米国は81%、インドは78%、カナダも76%だった。
また、「購入先の変更を検討する前に、何回までならひどい顧客サービスを我慢できるか」の問いに対しても、「1度でもただちに別の会社に変える」と答えた日本人は56%。日本以外の8市場では23〜37%だった。
こういう「やたらとエラそうな顧客」こそが、「値上げ」をボロカスに叩いて、「安いニッポン」をつくってきた張本人なのだ。これまで「280円均一」で提供したものが急に298円に値上げをされると、他国の人は「まあまあ、人件費も上がっているからそんなこともあるでしょ」と受け入れる。
しかし、日本の「エラそうな顧客」はカッと頭に血がのぼって「努力が足りない!」「経営が苦しいところを、それでも値上げしないでがんばるのが商売人だろ」と、旧日本軍の鬼軍曹のように精神論を振りかざす。
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