企業経営におけるサプライチェーンの重要性:事業環境の変化に(1/5 ページ)
2022年は企業経営における歴史的転換点になったかもしれません。GAFAなどの巨大ITプラットフォーマーによる支配が終わり、サプライチェーンの構造改革や調達改革などで強みを持つ企業が、業界内でも好業績を上げる時代になりつつあるのです。
今年最後のブログです。
ちょっと長くなりますが、今年を総括する私のメッセージをぜひお読みください。
2022年は企業経営における歴史的転換点になったかもしれません。アップル社を除くGAFAの業績悪化が顕在化し、各社とも大規模なリストラを遂行しています。GAFAは2010年代に台頭し、2020〜21年のパンデミック開始による巣ごもり需要増大で、成長が一層加速しました。それが2022年に入って、一転して業績が悪化したのです。このように巨大ITプラットフォーマーによる支配が終わり始めたのが2022年でした。
一方で2021年〜22年には、企業は、市況の高騰による調達価格の増加と、モノが買えない供給不足という大きな課題に直面しました。「モノが買えない時代」に入っており、これは一時的な課題ではなく、構造的な変化だと捉えられました。こういう背景下、企業経営における「サプライチェーンの重要性」は益々高くなっています。
ここで数社の足元の業績の状況を見てみましょう。
まずは、エネルギー業界の東京電力と東京ガスです。
東京電力の2022年度第二四半期決算は、燃料・卸電力市場価格の高騰などによる電気調達費用が増加したことにより、前年同期比3402億円減の2,388億円の損失となりました。一方で東京ガスは、純利益が前年比2.6倍の716億円となり、2023年3月期の連結純利益予測も1180億円となり、過去最高益を更新すると発表しています。
東京ガスの好業績は同社の海外事業の好調によるものも大きいですが、同社の調達改革が功を奏しているようです。具体的には、東京ガスはLNGの長期契約の比率が約7割超と言われ、国内平均より高いです。
また、同社はリスク分散目的で、米国のガス価格指標に連動する長期契約も増やしており、原油価格上昇によって高騰しにくくなっている契約も多いとのことです。このように安定調達とリスク分散がうまくできているのが好業績につながっています。
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