愛媛県のDXは「働き方を変えるヒント」に テレワークの注意点:人手不足・人材流出(3/4 ページ)
少子高齢化に伴って、労働力不足が深刻な問題になっている。特に地方では人材流出に歯止めがかからない状況だが、こうした課題をどのように解決すればよいのだろうか。愛媛県のDXを見ると……。
働き方の多様性をオンラインで実現
人手不足が深刻化する地方企業は、「テレワークの導入」を考えたほうがいい。テレワークという働き方を選べること自体が、雇用の創出につながる可能性があるからだ。介護や育児などで離職してしまった人でも、場所を問わないテレワークなら働ける場合があるだろう。何らかの事情で「働きたくても働けない」という人材を、テレワークという選択肢があれば、拾い上げることができるかもしれない。
DXを強く推進している愛媛県においても、22年3月に改訂された「愛媛県デジタル総合戦略」で、「テレワークによる雇用創出」を掲げている。市町村と連携しながら、場所に左右されない新たな形態の雇用創出を図ることを戦術として掲げている。
また、新型コロナウイルスの流行を機に、社会の脆弱(ぜいじゃく)性があらわになった今、将来発生しうる災害や新たな感染症などにも屈しないレジリエンスを高めることが不可欠だ。この観点からも、テレワークの環境地盤を整えておくことは、都市部/地方問わず、自治体や企業として重要だろう。
テレワークといっても「これまで役所や会社で行っていたことをそのまま家で行う」という発想では、生産性が下がってしまうので注意が必要だ。労働力不足が深刻な今、大切なのは、一人当たりの生産性の向上、つまり”最小の労力・時間・金額で、最大の成果を出すこと”である。そのための具体的な業務仕分けの流れが以下である。
■業務の最適化フロー
(1)業務の洗い出し
(2)業務の仕分け
「コア業務」と「ノンコア業務」(必ずしも自分じゃなくてもよい業務)に分ける
「コア業務」をオンラインまたはオフラインに分ける
(3)ノンコア業務を「なくす」「減らす」「誰かに頼む」に分ける
(4)「誰かに頼む」の依頼先を検討
テレワークを導入しながら生産性を高めていくためには、上記の仕分けが重要である。テレワークでは、オフィスで顔を見ながら仕事をするのとは違い、ちょっとした相談や依頼ができない。そのため、まずは自分やメンバーの業務を明文化し、把握することが重要である。
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