ワークマンの売上高は10年で2.6倍 好調の背景に何があるのか:社員の年収を上げた(1/4 ページ)
ワークマンが、この10年で売上高2.6倍の成長を遂げている。好調の背景に、何があるのか。取材したところ、「独自の人材育成術」がキモであることが分かってきた。
ワークマンが、この10年で売上高2.6倍の成長を遂げている。好調の背景には、自走する社員を育てるワークマン独自の人材育成術があった。
「エクセル経営」は手段であって目的ではない
ワークマンは、エクセルを使ったデータ分析、いわゆる「エクセル経営」を徹底していることで知られている。きっかけは、2012年に土屋哲雄さん(現専務取締役)が入社したことだ。それ以前のワークマンは、店舗の在庫データすら把握していないアナログな会社だった。土屋さんは、当時のワークマンが停滞していた原因を「みんなが上の顔色をうかがって仕事をしていたからだ」と振り返る。
経験が全てとなりがちな小売の世界で、年齢や役職に関係なく議論できる会社にするには、数字やデータの力が必要だった。数あるツールの中でエクセルを選んだのは、誰のパソコンにでも入っているから。本気で会社を変えるなら、全員参加でないと意味がないと考えたのだ。
ワークマンはデータサイエンティストのような専門家の採用は一切していない。全社員が社内研修で一通りのエクセル関数をマスターし、自ら分析ツールをつくり、品ぞろえや棚割りの改善、店舗在庫の最適化などに生かしているのだ。
分析したい内容が高度化し、エクセルの限界が見え始めると、一部の社員が独学でPython(パイソン:プログラミング言語の一種)を使い始めた。「ワークマンプラス」のヒットで在庫管理が破綻した際には、ロジスティクス部門のメンバーがPythonでプログラムを組み、3時間の業務を20分に短縮するなど、人海戦術ではなく自動化することで乗り切った。
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