ワークマンの売上高は10年で2.6倍 好調の背景に何があるのか:社員の年収を上げた(3/4 ページ)
ワークマンが、この10年で売上高2.6倍の成長を遂げている。好調の背景に、何があるのか。取材したところ、「独自の人材育成術」がキモであることが分かってきた。
人事評価基準を変える
並行して人事評価も変えた。
「昔は実績主義といって、売上達成率や粗利達成率、在庫金額、そして“忖度力”、この4つが評価の対象だったんです。それが今はプロセス重視に変わっています。要は、どんな課題に取り組んでいるのか、きちんと仮説・検証を立てて、改革マインドを持って業務に向き合っているか、そういうプロセスを重視することで意識改革や行動変容を促しているのです」(林さん)
プロセス評価とは、成果に至るまでのプロセスに焦点を当てた人事考課手法で、人材育成の面でもメリットがあると言われている。うまく運用するには、行動目標を設定し、明確な評価基準を設ける必要がある。
「ワークマンでは、営業部なら売り上げ自体にノルマを設定するのではなく、売り上げアップに相関するKPIを設定し、きちんと取り組んでいるかが評価基準になります。管理職が見るのはこのKPIが達成できているかどうかです。KPIを達成しても売り上げが伸びない場合、社員ではなく経営の責任ということになります。『会社がやれと言った内容がそもそも間違っていたんだね』ということです」(林さん)
評価基準を明確にすることは社員満足度向上にもつながる。リクルートマネジメントソリューションズが実施した「人事評価制度に対する意識調査」では、「現在の人事評価制度に満足している」グループにその理由を尋ねると、「会社が評価制度について具体的な情報を開示しているから」(44.6%)、「何を頑張ったら評価されるかが明確だから」(41.0%)が上位に。
一方、「人事評価制度に不満を持つ」グループでは、「何を頑張ったら評価されるのかが曖昧だから」(54.4%)、「評価基準が曖昧だから」(47.6%)がツートップとなった。
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