「洗い物は少ないけど楽じゃない」 一人暮らしのための食洗機、「A4サイズ」でパナ発売:サブスクでも提供(2/2 ページ)
パナソニックは1月17日、一人暮らし向け食洗機「SOLOTA(ソロタ)」を発表した。狭いキッチンでも置きやすいコンパクトサイズを実現し、設置面積は「ほぼA4ファイルサイズ」という。
食洗機から「洗える食器棚」へ
食洗機は、常時見えるところに置きっぱなしの家電だ。そこで前背面をクリア窓にし、設置による圧迫感を軽減。電源とスタートボタンのみのシンプル操作で家電らしさを排除し、「洗える食器棚」を目指したという。
共働き世帯の増加に伴い、家事負担軽減のニーズが高まり、食洗機の普及率は右肩上がりで推移している。2021年の食洗機の総需要は約90万台、国内普及率は29%となった。
一方で、食洗機の所有者の多くは持家・2人以上世帯に集中。食器洗いは、一人暮らしでも家族でも、マンションでも持家でも等しく発生する家事でありながら、賃貸住居者・一人暮らしへの普及が大きな課題となっていた。
そこで同社は、21年11月に本体奥行が約29センチの「スリム食洗機(NP-TSK1)」を発売。これまで食洗機が欲しい・使ってみたくても置く場所がない、置けるサイズがないと購入を諦めていた賃貸住居者に訴求し、当初想定の約2倍を売り上げた。
同社が20〜30代の未婚者に実施した調査では、食器洗いは嫌いな家事ランキングの2位にランクイン。その理由として「仕事疲れで面倒」「食後ゆっくりしたい」が多く聞かれたという。「一人暮らしの人手は1人しかいません。また、『洗い物が少ないから楽だろう』と思われがちですが、そんなことはなく、食器洗いの手間から解放されたいのは一人暮らしでも同じです」(同社キッチン空間事業部の澤近京一郎さん)
SOLOTAの発売は2月中旬を予定。価格は直販サイト「Panasonic Store Plus」で3万7620円で、月額1290円のサブスクリプションサービスでも提供する。
澤近さんによれば、食洗機は結婚や出産、家の購入などライフステージの変化で購入される傾向があるという。「22年11月に発売したスリム食洗機、そして今回投入するSOLOTAにより、ライフステージの早い段階から食洗機を生活に取り入れてもらい、これからの生活のパートナーとなるような家電にしていきたい」(澤近さん)。30年までに国内普及率を50%にすることを目標に掲げている。
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