「こんなものまであるの!?」で大ヒットの冷凍自販機「ど冷えもん」 パチンコ店の意外なニーズとは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
冷凍自動販売機「ど冷えもん」が売れている。販売台数が2022年10月末までに5000台を突破。支持される理由は「非接触」以外にもあった。
スマホで位置検索
このように、ど冷えもんは「冷凍だけでなく冷蔵でも売りたい」「もっとサイズを小さく(または大きく)」「袋物も売りたい」といったように、さまざまなニーズに応えて、商品をバージョンアップさせてきた。
ど冷えもんは非接触、非対面によって24時間販売できるので、コロナ禍で重宝された面はある。しかし、ヒットした理由はそれだけではない。冷凍食品は賞味期限が長く、人件費が掛からず、電気代も1カ月で1万円も掛からないケースが多い。全般にコストが安い。
飲食店の人手不足が深刻化しており、販路拡大のために設置場所を増やす店もある。冷凍食品は、食品ロスが少なく、ごみを削減できる環境への優しさも魅力だ。
「自動販売機には熱心なマニアの方がいらっしゃって、SNSで情報が伝わるのが早いです」(同社・広報)。周囲に目印になるような建物が何もない、分かりにくい場所に設置されたど冷えもんでも、SNSの口コミ効果により、驚くほどの売り上げを叩き出していることもあるそうだ。
サンデンRSでは、22年7月に「ど冷えもんGO」というスマホ向けアプリをリリースした。位置情報検索システムと連動しており、どこに何を売っているど冷えもんが設置されているのか。スマホ画面で、たやすく検索できるので便利だ。
全国約5000台のうち2000台ほどしか登録されていないそうなので、早急に全台登録を目指してほしいものだ。
商品の在庫が確認でき、レビューもできるので、利用者が増えれば有益な情報がもっと集まってくるだろう。
有名店のラーメンが人気
ど冷えもんの活用事例として、業務用の麺類を製造する丸山製麺(東京都大田区)のラーメン自販機「ヌードルツアーズ」が著名だ。1号機は本社の前に21年3月に設置。1杯1000円以上という高額にもかかわらず好調で、今は全国165カ所に設置するほど、急速に普及した。
製麺工場なので、麺を卸しているラーメン店と交渉しやすいメリットはあっただろう。直接取引がなくても、お店と交渉を重ね、麺、スープを可能な限り忠実に再現。商品化している。
つけ麺「つじ田」、二郎インスパイア系「バリ男」、みそラーメン「ど・みそ」など、名店の味がわざわざ店にまで行かなくても手軽に味わえるので、人気になっている。一度は食べてみたい名店の味が、家庭で手軽に食べられるなら、消費者の財布のひもが緩むのだ。
チェーン店では、リンガーハットが「長崎ちゃんぽん」の自販機を店舗前で展開。全国約70カ所にまで拡大している。
また、「焼ビーフン」の袋麺で著名なケンミン食品が、調理済みビーフンの自動販売機を、神戸の本社前の他、兵庫県、愛知県、静岡県、福岡県の計6カ所に設置している。
このように、ラーメンをはじめとする麺類と、ど冷えもんの相性は非常に良好だ。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - なぜ女子の半分が泳いでないの? ジェンダーレス水着の開発者が語った“忘れられない光景”
フットマークのジェンダーレス水着が話題になっている。性の悩みだけでなく、さまざまな理由で「肌を隠したい」生徒のニーズに対応するのが狙い。開発者にその背景を聞いた。 - トイレ利用後に買い物しない人が約4割!? ローソンがトイレの扉にアートステッカーを貼った背景
全国のローソン店舗のトイレ付近に、アートステッカーを貼る取り組みを始めた。トイレをいつもきれいに使ってくれる人への感謝を示す。背景にあるコンビニトイレの課題とは? - ファミレスは危機に陥っている!? サイゼリヤとガストで明暗が分かれたワケ
ファミレスの2大巨頭「サイゼリヤ」と「すかいらーくHD」。すかいらーくの主力であるガストが、サイゼと比べて業績面で苦戦している。背景には何が? - パソナの淡路島移転計画はどうなっている? 家族で引っ越した社員が語ったリアルな日常
パソナが着々と社員の淡路島移住を進めている。実際に働いている社員はどういったことを考えているのか。現地で増えている商業施設の状況も取材した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.