調査リポート
星野リゾート、全国旅行支援「7割の施設が不参画」一体なぜ?:あえて「独自クーポン」にした理由(2/2 ページ)
1月10日から「全国旅行支援」が再開した。星野リゾートは国内の全宿泊施設のうち7割を「不参画」に決めた。その理由は一体なぜか?広報担当者に聞いた。
全国旅行支援に参画する残り3割の施設は?
一方で同社の全国旅行支援に参画している施設では、その恩恵も確かにあるという。例えば都心部に構えるホテル「OMO(おも)」や若者をターゲットにしている「BEB(ベブ)」では、直近は予約で埋まっているものの、先々の予約は多くなかった。ところが全国旅行支援開始後からは少し先の予約も埋まるようになったという。全国旅行支援は対象期間が設定されているため、前もって旅行を計画する層が多いようだ。
「マスク着用ルール」にも独自の方針が
実は以前にも星野リゾートは政府の支援策や方針と「距離」をとったことがあった。屋外でのマスク着用ルールについてだ。屋外でのマスク着用は原則不要という政府の公式見解が出たのは22年5月下旬だったが、同社はこれよりも先に、夏季におけるマスク着用は「私どもからはお願いしない」という方針を打ち出していた。
熱中症のリスクをはらむ夏季のマスク着用に対して、事前の案内が必要だったためだ。マスクを着用する人が多い日本では、せっかくリゾートに来たのに周囲の目が気になってマスクを外せない人も多いだろう。企業としてこうした公式の見解を出すことは、利用客の安心にもつながる。
政府による観光支援策は確かにインパクトは大きく、これからも推進していくべきだろう。しかし突然の制度変更による混乱や、公式見解の発表まで足止めを食らうこともある。それに振り回されて利用客の旅行体験を損なってしまうよりは、時には政府と「距離」をとることも必要かもしれない。
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