「餃子の王将」はなぜ絶好調なのか 「日高屋」「幸楽苑」より早く回復、ヒット商品続々のワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
「餃子の王将」が絶好調だ。コロナ禍の影響は受けたが、「日高屋」「幸楽苑」より早く回復している。背景には何があるのか。
料理の質を向上
餃子の王将では、料理の品質を上げる取り組みを継続的に行っている。
食材では、14年より主要食材を国産化。産地にもこだわり、餃子の皮や麺に使用する小麦粉は北海道産、にんにくは青森県産だ。
調理では、本社内で社員(主に店長)が料理のスキルを向上させられる「王将調理道場」が17年に開設された。道場で腕を磨いた店長が、調理のコツや新商品の調理法を各店に持ち帰りスタッフに伝授する。このスキームにより、個人や店舗間の技術の格差を無くすように努めている。コロナ禍となってからは、オンライン研修も実施している。
まとめると、1種類から3種類に増やした餃子、プレミアムな極王シリーズの提案、小皿のジャストサイズ充実、フェアー商品の好調、食材の国産化、王将調理道場での技術向上などが、好調の理由として挙げられる。顧客が選べるメニューの選択肢を増やしつつ、料理をおいしくする取り組みが、餃子の王将が値上げをしたにもかかわらず売り上げを伸ばしている背景にある。
また、テークアウトをしやすいように専用の受付窓口を設けたり、デリバリーに対応したりと、非接触性が高い販売方法にも積極的に取り組んでいる。
では、実際にどの程度値上げされたのか。
一度目の値上げでは、22年5月14日より、グランドメニューの約2割となる14の商品で、店頭価格を20〜30円(税別)上げた。
値上げの対象が全体の2割というのは、大したことではないという印象を与える。しかし、内容を見ると餃子、炒飯、天津飯、中華販、鶏の唐揚、ニラレバ炒め、酢豚、回鍋肉、餃子の王将ラーメン、焼そば(醤油)など、主力商品が多く含まれていた。
続く二度目の値上げでは、同年11月19日より、グランドメニューのうち35の商品で、10〜50円(税別)上がった。対象商品は極王シリーズが含まれるなど、一度目の値上げより品数が多い。
これによって主なメニューの税込価格の推移は次のようになった。
- 餃子:(東日本)264円→286円→297円、(西日本)242円→264円→275円
- 炒飯:(東日本)495円→528円→550円、(西日本)440円→473円→495円
- 餃子の王将ラーメン:(東日本)550円→572円→594円、(西日本)528円→550円→572円
- ニラレバ炒め:528円→561円→583円
- 回鍋肉:(東日本)528円→550円→583円、(西日本)528円→550円→572円
- 極王炒飯:748円→748円→770円
このように、全体では1割ほどの値上げになった模様だ(値上げしていない商品もある)。回鍋肉のように、これまで全国共通の値段であったメニューで、東日本のほうが高く設定されるケースもある。どうやら、西日本の人のほうが価格にシビアだと考えられているようだ。豚キムチも全く同様に、以前は全国共通の値段だったが、今は東西で区分して値上げされている。
一方で、ニラレバ炒めのように東西で共通の価格を維持している商品もある。
このように東日本と西日本で価格を分けているのも、奏功しているように見える。東日本のほうが心持ち高い。新しく価格が分かれた、回鍋肉と豚キムチの11円差は、たかが11円ではなく、非常に大きな11円なのかもしれない。
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