「餃子の王将」はなぜ絶好調なのか 「日高屋」「幸楽苑」より早く回復、ヒット商品続々のワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
「餃子の王将」が絶好調だ。コロナ禍の影響は受けたが、「日高屋」「幸楽苑」より早く回復している。背景には何があるのか。
餃子がブーム
餃子はコロナ禍の巣ごもり需要で、「無人販売所」が急増するなど、冷凍食品を中心にブームになっている。無人販売所のパイオニアで、最大手「餃子の雪松」の場合、コロナ禍に入る直前の20年1月には19店だったのが、23年1月26日時点で432店にまで激増している。これは「コロナ禍で餃子が流行している」と可視化された事象であった。
また、21年に開催された東京オリンピックの選手村食堂で提供された餃子が、非常においしいと選手たちの間で評判になった。冷凍餃子最大手、味の素冷凍食品の商品だったが、報道やSNSを通じて「日本の餃子はおいしい」という評判が拡散されることにより、餃子全体へと波及効果を持ったのではないか。
新興の餃子チェーンとして「餃子とビールは文化です」をスローガンに掲げる、NATTYSWANKY(ナッティースワンキー)ホールディングス(東京都新宿区)の「肉汁餃子のダンダダン」が、コロナ禍で店舗数を伸ばしている。22年12月末日時点で、直営96店とFC31店を含めて127店ある。
20年1月末時点で直営68店、FC18店の計86店であったので、コロナ禍の間に約40店もの店舗を増やした。
同店の影響か、餃子をメインにした大衆的なお酒も飲める食堂が、よく盛り場で目に付くようになった。中には餃子の店の隣に、餃子の店といったケースもあるほどだ。
このように、中華系の商材で持ち帰りに向いた餃子が、コロナ禍で注目を浴び、餃子の代表店として餃子の王将も恩恵を受けた面も否めない。
しかし、それだけではなく、品質アップにためのさまざまな取り組みはもちろん、東日本と西日本で分けた値上げのやり方が巧みで、顧客の支持を受けている。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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