「DXバブル」「エリート学生に人気」で急拡大 コンサル業界に立ちふさがる“由々しき問題”とは:ビジネスモデルを分析(3/3 ページ)
コンサル業界がDXバブルで規模を拡大している。今後、さらなる成長をするには何が必要なのか。筆者は一方で見落としてはいけない“由々しき問題”があると指摘する。
コンサル業界の抱える課題
コンサルタントの稼働ありきで、労働集約型の収益体系に新たな収益モデルを付加して事業拡大する方向性として候補に挙がるテーマが、次の図にある4テーマです。プラットフォーム事業は未開拓領域ではありますが、今後ブロックチェーン技術の活用含め新たなモデルが生まれることが予想されます。
成長著しいコンサル業界ですが、その反面、次のような問題を抱えています。これらは中長期の時間軸でじわりじわりとコンサル会社の経営を脆弱にしかねない由々しき問題です。
- 規模拡大を求めるあまり人材採用の基準が甘くなり、人材の品質低下を招く(コンサル未経験者の大量採用など)
- その結果、顧客からのクレームの増加、信頼の失墜、企業としてのブランド毀損
- コンサル未経験者や他のコンサル会社で成果が出せていないコンサルタントを採用することで、マネジメント層の教育負荷、クレーム対応負荷が増大
- その結果、会社への貢献度の高い優秀な人材が他のコンサル会社や事業会社へ流出する
- 人が増えることはポジションの枯渇につながるので、プロモーション(昇格)判断が甘くなり、実力なきパートナー(役員)が増加
- 出世欲やポジション取りを優先するパートナーやディレクターが増えることで、若手の人材流出を引き起こす
- 他の領域や新規事業に注力している中で、従来主軸にしてきたコンサル領域の品質向上がおろそかになる
このようなリスクを抱える中で、どれほどの拡大戦略を取っていくのか。その定量目標や事業ドメインの選定には大変慎重な判断を要されるところです。
日本の重要な産業の支援をしているコンサル会社の役割は大きいです。提言力・サポート力が、日本市場にプラスにもマイナスにも影響を与えます。顧客視点が重要であると提言しているコンサル会社自体が、顧客視点を見失っては本末転倒です。
学生の人気業種となり華々しくも見えるコンサル業界ですが、「高いビジネススキルを有して顧客の成果に貢献する」ことが普遍的ミッションであるはずです。顧客を良い方向に導く提言・提案をするには相当なる鍛錬が要され、入社すればコンサルタントになれるというほど簡単なものではありません。
人手として作業的代替をすることがコンサル会社の潮流となっては大変危険なことです。業界の成長とともに、その品質も同時に成長していかなくてはなりません。そのために今、筆者含めコンサル業界に長く関わる人達の在り方が問われているように思い今回の記事としました。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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