人口815人の村を「AR貞子」が救う? 奈良県・下北山村がだいぶ思い切ったコラボを決めたワケ:異色のコラボ(3/3 ページ)
奈良県、下北山村が「貞子」とコラボした企画が盛り上がっている。ARをつかった観光アプリを開発し、貞子が村内の名所から出現するという企画だ。下北山村はなぜ貞子とのコラボを決めたのか、担当者に聞いた。
貞子のPR効果は絶大だった
なかなか挑戦的な判断に思うが、「貞子効果」はてきめんだった。
SNS上ではコラボについて驚きの声があがった。TwitterやInstagramでは、実際にアプリを使って写真を撮った投稿も見つかる。
地元のテレビ番組、『ならフライデー9』(奈良テレビ)にも取り上げられ、「テレビを見て来た」という人もいたという。同番組のTwitterアカウントで宣伝された“貞子回”の投稿は、インプレッション数(投稿がユーザーに表示された回数)が約1.6万。人口815人の村だということを考えると驚きの数字だ。
デジタル施策の強み
本企画の効果検証はどのように行うのか聞いた。本キャンペーンは3年間実施するが、この期間におけるアプリのインストール数を計測するほか、Instagramで「ハッシュタグキャンペーン」を行うとのこと。これは村を訪れて実際にアプリを楽しんだ人が、ハッシュタグ「#下北山村」「#さだキャン」を付けて投稿すると、抽選で村の特産品をプレゼントするというもの。このキャンペーンのハッシュタグの投稿数で、実際の利用者の数や反響について効果検証を行う。このほかにもキャンペーンを予定しているそうだ。
施策の効果が定量的に測定できるのも、デジタル施策の強みといえるだろう。
貞子をきっかけに下北山村を知ってもらったその先には、「関係人口」の創出、ひいては将来的な移住につなげたい思いがある。関係人口とは、移住でもなく観光でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉だ。「観光を促進する根底には、“村を知ってもらい、好きになってもらいたい”という思いがあります。そのために、今後も下北山村を訪れてもらえるような取り組みを継続的に行っていきたいと思います」と同村の担当者は話した。
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