「外食テロで店がガラガラ」問題 スシローが訴えても“解決”できないワケ:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
「外食テロ」の報道を受けて、ネット上では悲鳴と怒りが入り混じった声があふれている。「犯人に高額賠償を請求しろ!」といった意見も出ているが、そんなことをしてこの問題を解決できるのだろうか。
「あんな気持ち悪いことをしていると思ったら、怖くてもう外食できない!」
「いつから日本の若者はこんなバカばっかになったんだ? 再発防止のためにも高額賠償請求で罪を償わせろ!」
連日のように報じられる「外食テロ」を受けて、そんな悲鳴と怒りが入り混じった声がネットやSNSにあふれている。
この騒動のきっかけはご存じ、スシローの店内にいた若い金髪男性が、備え付けの醤油ボトルの注ぎ口を舐(な)めたり、未使用の湯呑みを舐め回したりという「迷惑動画」である。
これがマスコミでも大きく取り上げられた後、九州と山口県で展開する「資(すけ)さんうどん」では客が卓上にあったサービス品の天かすを共用スプーンで食べる動画も注目され、「CoCo壱番屋」「吉野家」でも同じように、卓上の福神漬けや紅しょうが直に食べる動画が拡散されている。
深刻な実害も出ている。報道によれば、動画を視聴した人たちの中で「あのような客がいると思うと怖い」と回転寿司を敬遠する動きがでており、これまでスシローを訪れたことのない芸能人や有名人が「応援来店」するなんてムーブメントも起きている。
このような相次ぐ外食テロを受けて、専門家の皆さんは「食の安全が損なわれた」「安くてうまいというビジネスモデル崩壊する」と危機感をあらわにして、「最新テクノロジーで監視すべき」「目玉が飛び出るほどの高額賠償請求をして思い知らせてやれ」などさまざまな対策が唱えられている。
ただ、残念ながら、犯人とその家族に一生かかっても返しきれない負債を負わせたり、顔写真と実名を晒(さら)して社会的制裁をしても、同様の被害は繰り返されるだろう。若い男性の中でも、特にイキった少年は「ムチャするオレってかっこいい」と自分に酔って、後先考えずに愚かな行為へ突き進むものだ。集団暴行などでも仲間同志で「ビビってんのかよ」なんて挑発し合って、残虐行為がエスカレートしたケースが山ほどある。つまり、「見せしめ」による抑止力は限定的なのだ。
しかも、「外食テロで店がガラガラ」という状況を生み出している“共犯”が野放しだ。犯人を苦しめるだけではなく、こちらの対策もしっかりとやらない限り、焼石に水というか、今後もスシローのような被害者が量産されてしまう。
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