「外食テロで店がガラガラ」問題 スシローが訴えても“解決”できないワケ:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
「外食テロ」の報道を受けて、ネット上では悲鳴と怒りが入り混じった声があふれている。「犯人に高額賠償を請求しろ!」といった意見も出ているが、そんなことをしてこの問題を解決できるのだろうか。
共犯はマスコミだ
では、その共犯は誰かというと、他でもないマスコミだ。
なぜスシローから客足が遠のいたのかというと、根本的なところは、若者が非常識な動画を投稿したからだが、直接の原因は、マスコミが朝から晩まで迷惑動画を大量に流して、「スシローではこんな気持ち悪いことがやられている」とネガイメージを煽(あお)ったからだ。
こういう無責任な「祭りだ、ワッショイ」型の報道をガイドラインなどで取り締まらない限り、「外食テロで店がガラガラ」問題はいつまで経っても解決できないだろう。
マスコミ、特にテレビが恐怖や不安を煽ると、一般消費者の行動にダイレクトに負の影響が出ることはさまざまな研究でも明らかになっている。最近の分かりやすい例は「トイレットペーパーデマ」だ。
新型コロナウイルスの感染拡大当初、SNSで「トイレットペーパーが品切れになる」という情報が拡散されたことがある。ほどなくデマだと分かって、拡散した人物が所属していた団体も謝罪し、一件落着となった。
しかし、ワイドショーなど大手マスコミが「SNSでトイレットペーパーが品切れになるというデマが流されました」と大騒ぎをしたことを受けて、トイレットペーパーの買い占め騒動が起きたのだ。番組を見た視聴者は頭では「デマ」だと理解しているが、「もしかしたら本当に品切れするかも」と不安になって、ドラッグストアに押し寄せたのである。
そして、そのパニックをワイドショーが嬉しそうに中継をして、「ご覧ください! あんな行列ができています!」と大ハシャギで報じて、それを見た視聴者が「乗り遅れてなるものか」とさらにドラックストアへ殺到した。
「効果」としては逆だが、「スシローにはヤバい客が多い」と不安を煽って、スシローを閑古鳥が鳴くようにしたスキームとまったく同じだ。
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