ヤマハが試しにつくった「エレキ」が面白い “牛肉の部位”に見えてきた:水曜日に「へえ」な話(2/3 ページ)
ヤマハがちょっとユニークなことに取り組んでいる。楽器の制作工程で使われなかった木を集めて、エレキギターを完成させたのだ。それにしても、なぜわざわざ手間のかかることをしたのか。その秘密を担当者に聞いたところ……。
音と耐久性は、いまのところ問題なし
ご存じのとおり、ヤマハはたくさんの楽器をつくっている。ピアノもあるし、バイオリンもあるし、ピアニカもあるし、リコーダーもある。このほかにもたくさんの楽器をつくっているわけだが、そのぶんたくさんの木を使っている。製造にあたって必要な材料を世界各地から調達しているのだ。
しかし、である。これまでほぼ問題なく調達できていたが、この先も同じようにつくれるとは限らない。自然環境の変化などによって、災害が起きたことによって、紛争が勃発したことによって、木を調達できなくなってしまったら――。そのような事態を考えて、研究に研究を重ねた結果、生まれたのが先ほど紹介したエレキギターである。
それにしても、たくさんの木でできたエレキは、どのようにしてつくったのだろうか。ヤマハの開発担当者に聞いたところ、全国各地の工場を回ったとのこと。各工場では楽器を加工する過程の中で、使われなかった「未利用材」があった。サイズは大きなモノから小さなモノまで。楽器の特性に合わせた木を使っているので、種類もさまざま。
「これらの木を使って、これまでになかったギターをつくることはできないか」と考えた担当者は、たくさんの端材を持ち帰って、それらをエレキの形に落とし込んでいったのだ。
さまざまな木を使うので、既存のモノとは見た目が違うし、重さも違う。木が違ってくると、音も違う。表現は少し悪いが、このような疑問がわいてきた。「寄せ集めの木を使って、本当にいい音はでるのか」と。
担当者に質問したところ「何度も弾いてみましたが、音はしっかり出るんですよ」とのこと。筆者はギターを弾けないこともあって音の良し悪しはよく分からないが、東京の銀座で体験会を開催(1月末)していたので、会社として自信があるのに違いない。
それよりも開発メンバーが不安を感じていたことは、耐久性である。初めてつくったモノなので、演奏中に不具合が起きるかもしれない。そんな心配も杞憂(きゆう)に終わった。社内の演奏会でも、長時間にわたって弾き続けたものの、大きなトラブルは発生しなかったのだ。
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