リーガルテックのサービスが増えた 背景に3つのトレンド:国内の市場は(3/4 ページ)
矢野経済研究所の調査によると、リーガルテック市場は、2016年から23年まで年率9.8%で成長を続け、23年には353億円にまで成長すると予想されている。あまり聞き慣れない市場かもしれないが、なぜ伸びているのか。その背景に迫ったところ……。
日本におけるリーガルテック
日本国内でリーガルテックという言葉が本格的に使われ始めたのは、同領域でベンチャー企業が複数社起業された15年以降です。デジタル化、ペーパーレス化、働き方改革などの流れを受け、立て続けに新たなリーガルテックを用いたサービスが生まれました。
矢野経済研究所の調査(19年)によると、リーガルテック全体では、16年から23年まで年率9.8%で成長を続け、23年には353億円にまで成長すると予想されていました(参照リンク)。急激な拡大を見せるリーガルテックですが、さかのぼれば2000年代初頭より、すでに法務・知財関連業務にデジタル技術を活用した下記にあげられるサービスが出現していました。
(1)判例検索
(2)法令データ提供システム
(3)弁護士相談
(4)デジタル・フォレンジック(インシデント調査)
(5)知財検索
中でも、デジタルフォレンジック技術は、ハイテク犯罪や情報漏えい、品質・検査不正、カルテルと贈収賄を始めとするコンプライアンス違反などの不正調査において、第三者委員会による調査案件でも活用されており、不正調査に役立つ技術として注目されてきました。
サーバーやパソコンなどのデジタル記録媒体の中に残された証拠を、保全・収集や調査・解析するデジタルフォレンジックを提供する企業は相次いでサービスを開始しており、法務部門・知財部門における主なソリューションは業務全体を網羅するレベルに拡大しています(図参照)。
また、ESGへの意識の高まりによるコンプライアンス体制の強化が求められる中、デジタルフォレンジックの実装はグローバルスタンダードとして定着しつつあるといえるでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
「オレが若いころは」「マネジメント=管理」と思っている上司が、ダメダメな理由
「オレが若いころは……」「マネジメントとは管理することだ」といったことを言う上司がいるが、こうした人たちは本当にマネジメントができているのだろうか。日本マイクロソフトで業務執行役員を務めた澤円氏は「そうしたマネージャーは、その職を降りたほうがいい」という。なぜかというと……。
なぜ某カフェチェーンは時給を上げないのか 「安いニッポン」の根本的な原因
アルバイトの応募が少ない――。某カフェチェーンから、このような嘆きの声が聞こえてきた。人口減少の問題もあるだろうが、なぜバイトが集まらないのか。その理由は……。
「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。
「70歳まで会社にしがみつく人」が結局、会社を弱体化させてしまうワケ
定年を引き上げるニュースが相次いでる。現行の60歳から65歳にする企業が増えてきているわけだが、筆者の窪田氏はこの動きに懸念を抱いている。「長く働くことができていいじゃないか」と思われたかもしれないが……。

