サントリーが“営業力”強化のため、データ分析に取り組んでいる背景:社内研修も実施(1/2 ページ)
コンビニやスーパーへの営業活動に役立てるため、サントリーがデータ分析に注力している。社内での研修会も実施している。どういった背景があるのか。
サントリーが、コンビニやスーパーといった小売りチェーンへの営業活動に役立てるため、ID-POSデータの分析を強化している。将来的には社内データの活用も考えているという。背景に何があるのか、営業推進本部の担当者に話を聞いた。
ロイヤルカスタマー育成が課題
日本では人口減少が続いており、小売りチェーンにとっては縮小する市場でいかに生き残るかが大きな課題となっている。ロイヤルカスタマーを育成するため、店舗を訪れる顧客ニーズをより深く理解しようとする動きが強まっているという。
そうした中、自社のID-POSデータを分析・活用する先進的な小売りチェーンが出てきた。サントリーとしても、利用客の購買活動を理解し、小売りチェーンにとってメリットのある販促や売り場づくりを提案する必要に迫られていた。
家庭用統括部の前田由紀子課長は「こうした動きは2019年くらいから一気に広まりました。弊社でもID-POSデータを分析するシステムを開発し、活用しています」と説明する。
具体的にどういったことをしているのか。
ある大手コンビニチェーンでは、集客に苦戦していた。来店頻度や購買単価が高い顧客の行動を分析すると、そこでしか買えないプライベートブランドの商品(総菜など)を多く購入していたことが分かった。
そこで、サントリーの看板商品であり、消費者との接点も多い「ほろよい」「金麦」のプロモーションを実施することにした。これらの商品を購入することで、コンビニが特にアピールしたい商品にも目を向けてもらう作戦だ。
こうした施策により、売り上げの伸長や、来店客数の増加につなげていったという。
別のスーパーでは、自社で蓄積したID-POSのデータを思ったように分析・活用できずにいた。そこで、サントリーに対して適切な施策を考えるために、データ分析をしてほしいという依頼があった。
これまでは、お酒のカテゴリーにおいて、全体の売り上げ上位を占める商品に注目し、そうではない商品をカットする傾向があった。しかし、同社が分析したところ、売り上げはそれほど大きくはないが、来店のリピートにつながっている商品を発見。商品を評価する新しい基準の提案につなげた。分析対象とするのは自社商品だけではなく、競合他社の商品も含んでいる。
また、棚割りの改善にもデータ分析を役立てた。例えば、買い回りが起きやすいグループを「高アルコール」「レモンサワー」などと分類。レモンサワーをよく買う人は、サントリーのA商品と他社のB商品を一緒に買うことが多いことを突き止めた。
家庭用統括部の丸田健悟氏は「一緒に購入されやすい商品を提案することで、売り上げ増につながりました」と説明する。
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