「偉そうな若いヤツ」がいない日本──ビジネスの停滞を打ち破るカギはどこにある?:IGPI冨山和彦氏×テラドローン徳重徹氏【後編】(3/3 ページ)
日本の企業がグローバルに勝っていくためには、どんな組織づくりや人材育成が必要なのか? IGPI冨山和彦氏×テラドローン代表の徳重徹氏が対談し、日本の組織の問題点とそれを打開する方法について模索する。
世界で戦うために、思い出すべき精神
冨山: 皆がぬるければいいけど、アジアもアフリカもヨーロッパも全然ぬるくないんですよ。いまもグリーンイノベーションといいながら、相当シビアな戦いをやっていますよね。理想論や建前論でESGとかSDGsとか言っていてもそんなに生易しい世界ではないですから。
徳重: 僕らはEVなどもやっていますけど、結局はハードとしてのシェア争いでなく産業構造の戦いなので。
冨山: そう。異民族間の、ガチの戦い。だから彼らも建前をしたたかに使いながらやっているので、そのたくましさは自分で実感しないと。ナイーブな理想は打ち砕かれるけど、何とか生き残るためにも挫折を経験してから戦える能力が必要です。
徳重: 直近の著書で(司馬遼太郎の)『坂の上の雲』の話を取り上げていましたが、当時弱小国だった日本が小村寿太郎の交渉によって勝ち取っていく姿はすごい戦略でしたし。かつてあんなことをした国なので、たくましくできなくもないと思うんですよ。
冨山: 今でこそ教科書的で従順な優等生タイプが多い国民性なのかもしれませんが、歴史的に本当にそうかと思うと実は疑問で。本質的にみると、実は戦闘能力はあるんですよ。幕末の攘夷の流れから開国に至るドラスチックな動きというか節操のなさをみても、実はアジアの中で能力が高い国だったから生き残れたと思うんですよね。
ただ、明治以降に作られたシステムが西洋のキャッチアップ型であらかじめ正解を設定しておく形だったことが、優等生型・同調型に変化した要因だと思います。だから、今の従順な国民性は後天的に作られたものだとも感じます。もともとフレキシブルにクリエィティブな部分を持つ民族だと思うから、ポテンシャルを解放させるタフな場を作ることが重要ですよね。
徳重: 僕たちもそういった場ができるように、サウジアラムコとの件(前編参照)を成功させなければならないです。
冨山: 健闘を期待しています。
徳重: 今日はありがとうございました。
冨山: ありがとうございました。
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