「偉そうな若いヤツ」がいない日本──ビジネスの停滞を打ち破るカギはどこにある?:IGPI冨山和彦氏×テラドローン徳重徹氏【後編】(2/3 ページ)
日本の企業がグローバルに勝っていくためには、どんな組織づくりや人材育成が必要なのか? IGPI冨山和彦氏×テラドローン代表の徳重徹氏が対談し、日本の組織の問題点とそれを打開する方法について模索する。
「偉そうな若いヤツ」を育てよう
徳重: リスクがあっても若くてポテンシャルがある人に場を与えるとどんどん伸びていくと本当に感じます。いまはぬるい方に日本企業が向かっているように感じていて。
冨山: 「鉄は熱いうちに打て」じゃないけど、社会人になって10年間ぬるい思いをしちゃうと厳しいですよね。20代をぬるく過ごすと、30代になって家庭ができて、40代で最盛期を過ぎるとますます厳しい環境に行くのはイヤだとなるでしょ。
日本社会が微妙なのは、そこそこ優秀な潜在力を持った人が割とぬるく給料をもらえる場所が増えているんですよ。そういうオフィスに行くとホワイトでテンプレート的な仕事で過ごして、1番戦闘力を発揮する30〜40代がタフネスに欠けちゃう。例えるなら、絶対ヨーロッパに行かないJリーガーみたいな微妙な感じになるんですよね。
徳重: 基本的な能力が高いのに発揮できる場がないのが問題ですよね。
冨山: それも含めてグローバルベンチャーが必要です。必然的に1番激しい戦場に行くし、一流同士のタフなフィールドで戦うわけじゃないですか。本当に20〜30代の過ごし方が大事で、ぬるく過ごしちゃうと40代になったら取り戻せないですよ。
徳重: うちの20代後半のメンバーも相手がお父さんくらいの年齢の人と戦わなければならないので、相当鍛えられちゃうんですよね。
冨山: いまの日本の状況だと、わりと優等生なタイプばかりで「偉そうな若いヤツ」が出てこないんですよね。僕らや徳重さんの時代はバブル崩壊があって世の中が荒れたじゃないですか。2005年ごろまで大型倒産も多かったですし、比較的乱世だったと思います。僕が産業再生機構のトップになったのは42歳の時でした。
若造なのに大銀行の頭取とかにいろいろと言っていたのは考えてみるととんでもないですよね。あの時から比べると結構平和になっちゃったので、残念ながらタフな状況でグローバルモードで戦闘力がある人材を作り出すには今の日本の環境は良くないですよね。
徳重: 僕たちはグループで松下村塾みたいな形でグローバルに人材を輩出したいと考えているんですよ。長くいるメンバーは「この会社って道場みたいな感じだ」と言うけど、実際そうだと思っていて、どんどんやらせるようにしています。あと海外から帰ってくるとギャップを感じるところがあって。日本だけの展開だと人はなかなか成長しないですよね。
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