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「偉そうな若いヤツ」がいない日本──ビジネスの停滞を打ち破るカギはどこにある?IGPI冨山和彦氏×テラドローン徳重徹氏【後編】(1/3 ページ)

日本の企業がグローバルに勝っていくためには、どんな組織づくりや人材育成が必要なのか? IGPI冨山和彦氏×テラドローン代表の徳重徹氏が対談し、日本の組織の問題点とそれを打開する方法について模索する。

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 なぜ、日本には世界で活躍するスタートアップが少ないのか。なぜ、破壊的なイノベーションを起こす経営者が現れないのか。

 ボストン・コンサルティング・グループなどを経て、旧産業再生機構の最高執行責任者(COO)に就任し、カネボウをはじめ多くの再生案件に関わる経営共創基盤(IGPI)の冨山和彦氏と、ドローンを用いたビジネスを世界で展開するベンチャー企業テラドローン代表の徳重徹氏が、日本の産業とスタートアップを取り巻く停滞感について対談した。

対談の前編はこちら

組織・人事経営は「アンチ日本的」に

テラドローン・徳重徹(以下、徳重): 日本の企業がグローバルに勝っていくためには、どんな組織づくりや人材育成が大事と考えていますか。

IGPI・冨山和彦(以下、冨山): 組織・人事経営に関しては、根本はアンチ日本的な手法を取るのがポイントですね。

 日本企業では、互いに空気が読めて同じ言語を話せる、良くも悪くも受動的な人が好まれます。

 ただ、グローバルでベンチャーをやっている人にはそうした人は少ないです。ある意味、闘争の中から意思決定される集団で、それを前提に一体性をもたせる経営をやっています。海外の企業がことさら「ビジョン」を掲げるのは、ビジョンを共有しないとバラバラになる側面もあるからなんです。


IGPI・冨山和彦氏

 日本企業の場合、会社がメジャーになるほど優等生タイプが入る傾向にあります。そういう人は与件を疑ったり、壊したりしないタイプが多いので、出された問題に疑義を持たないんですよね。

 このあと、徳重さん率いるテラドローンが成長していって採用を募ると、そうした「疑義を持たない」人が受かっちゃうんですよ。そうならないようにするのが大事だと思いますね。

重要な人事ほど、リスクや失敗を恐れるな


テラドローン・徳重徹氏

徳重: 日本企業には、海外経験のある人や新規事業を作れる人材が圧倒的に少ないことも問題ですよね。

 僕たちはとても難易度が高いことに挑戦して、失敗も重ねてきました。ただ、繰り返し失敗していくと知見もたまるし、悔しくてリベンジしようとするんですよ。結局はその繰り返しを経験することが大事なんじゃないかと思います。

冨山: 日本企業は減点主義だとよく言われると思いますが、なぜ日本企業が減点主義になるかといえば、失敗した人を再チャレンジさせたり、失敗の中身を踏まえて昇進させたりすると、「なんであんな奴を上げるんだ」と周りから言われてしまう。そうしたことを恐れている部分があると思います。

 人事部も自分が批判を受けることを気にするから、無難で失敗しなさそうな人を昇進させるんです。特に重要な人事ほど「人事部的なやり方」をしてはダメですね

徳重: 僕らは「ビジネスに勝てるか」に力点があるので、失敗しないかどうかよりもどう合理的に動いているかを重視しています。

冨山: 人事評価をアリバイ作り的にやってしまう人も多いんですよね。実態がなくてもその評価が基になるので、そこから外れると人事権者もリスクを負っちゃうじゃないですか。人事部は何よりも組織の不平不満がたまらないように日々のオペレーションを平和にやることを考えます。大企業の社長も根がサラリーマンだからリスクを取れないんですよね。だから、特にリーダークラスを選ぶ人事ほど人事部的にリスクを避けるやり方は止めた方がいいんです。

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