ローソンストア100の「100円おせち」は、なぜ真似されないのか:水曜日に「へえ」な話(2/4 ページ)
ローソンストア100の「100円おせち」をご存じだろうか。価格は、1個100円。同社の人気商品になっているわけだが、なぜ他社は真似しないのだろうか。真似たくても真似できない事情があるようで……。
「真似できても真似できない」事情
「100円おせちが売れているぞー!」となれば、「ウチでも販売しよう」という声がでてきてもおかしくないのに、いまのところそのような声を聞いたことはない。大手コンビニやスーパーだけでなく、小さなスーパーでも目にしたことがない(地方のスーパーなどでひょっとしたらあるのかもしれない)。取材を進めていくと、大きな理由が2つあることが分かってきた。
1つはスケールメリット、2つめは採算である。100円おせちの製造工程を見ると、大量に発注して、大量に販売するスタイルである。というわけで、小さなスーパーで販売するのは難しいようだ。もちろん、採算度外視のスタイルであればやれるだろうが、継続できるかどうかとなると、話は違ってくる。
手間暇かけて商品をつくりました。でも利益はでません――。となると、「来年はどうしようかな」「つくってもつくっても儲(もう)からないんじゃ、難しいな。止めよう、止めよう」といった話になるのは目に見えてくる。このようなシナリオが簡単に描けてしまうので、手を出したくても出せない心理が働いているようだ。
「採算をとることが難しいことはよく分かった。でもコンビニの大手3社であれば、できるでしょ」と感じられたかもしれない。店舗数を見ると、ローソンストア100は664店(22年12月末現在)に対し、大手はいずれも1万店を超えているので、ケタが2つ違う。
しかし、である。スケールメリットの条件は満たしていても、利益の問題がからんでくる。年末、おせちに使う食材は高くなる傾向がある。蒲鉾や数の子の普段よりも高く売れるのに、ローソンストア100と勝負するとなると、100円で販売しなければいけなくなる(またはそれに近い金額で)。
となると、売り上げを伸ばせない、利益が減ってしまうといった機会損失が想定されるので、真似たくても真似できない。いや、ちょっと違う。「真似できても真似できない」という表現が近いのかもしれない。
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