お客さまにいかに「行動」させないか カスタマーサービスができること:ポイントは3つ(1/4 ページ)
お客さまにいかに行動させないか――。カスタマーサポートは引き算の接客を意識しています。「タイパ」が求められている時代に、どのようなことができるのでしょうか。
データ活用でできる「手間」「時間」をかけさせない顧客体験
辞書の三省堂が「今年の新語2022」で、「タイパ」を選出して話題となりました。「かけた時間に対しての効果(満足度)」という意味合いで、時短レシピや動画の倍速視聴などが例として挙げられています。
カスタマーサポートも然り、問題に直面した際にはスピーディーに解決したい、というニーズは今も昔も非常に高いです。カスタマーサポート業界では、タイパに近い意味で「エフォートレスな顧客体験」という用語が用いられます。
言葉通り「努力を要しない」という意味で、マーケティングが「お客さまにどう行動させるか」という足し算の接客ならば、カスタマーサポートは真逆で「お客さまにいかに行動(努力)させないか」という引き算の接客を意識しています。タイパが求められる時代、この意識は一層強くなると考えています。
このエフォートレスな顧客体験を提供するために、カスタマーサポートが実施できることは何か? その領域を不満解消・問題解決体験と捉えてみるとどうでしょうか。顧客の疑問や不満を解消するには、「スピード」「正確さ」「透明性(顧客に不都合でも曖昧にしない)」の3点が重要な機能と考えています。
「スピード」は重要な要素で、「いつでもどこでもサポートしてくれる(24時間365日対応)」や「待たされない」ことが求められます。カスタマーサポートの自動化は、まさにタイパを体現する機会です。
次に「正確さ」「透明性」を考えると、「問題が解決された」「(解決されなくても)真摯に対応をしてくれた」ことが求められます。例えば、24時間の自動応対機能があっても「解決につながらない」場合は、タイパがいいとは言えません。また「透明性」に関しては、タイパ視点で考えると大きな落とし穴にはまりそうです。
サービスにおいては、手間や時間をかけることが価値につながるものも多くあります。真にタイパのよい顧客体験を提供するためには、自社の課題に対して「効率化により、顧客への価値提供が低減しないか」を踏まえて整理しましょう。まさに、企画担当者の腕の見せどころです。
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