お客さまにいかに「行動」させないか カスタマーサービスができること:ポイントは3つ(2/4 ページ)
お客さまにいかに行動させないか――。カスタマーサポートは引き算の接客を意識しています。「タイパ」が求められている時代に、どのようなことができるのでしょうか。
顧客体験の設計の要諦
タイパの高い顧客体験の設計として、
(1)顧客のボトルネックの把握
(2)ボトルネックの予防施策
(3)ボトルネックの解消施策
の3つが重要な検討ポイントになります。
(1)顧客のボトルネックの把握
まずは顧客がボトルネックに遭遇するタイミングをカスタマージャーニーベースで整理しましょう。そのためには「顧客理解のデータ」が必要です。顧客インタビューやコンタクトリーズン、属性データはもちろんのこと、Webサービスであれば、さらに広い顧客のサービス利活用の度合いが分かるデータを分析することで、ボトルネックを把握できます。その際、「なぜ発生するのか」「どのタイミングで発生するのか」というWhyとWhenの把握は重要になります。
(2)ボトルネックの予防施策
次に、把握したボトルネックを予防する観点で施策を洗い出します。一番効果的なのは、プロダクトやサービスそのものの改善です。ただこの手法は中長期のプロセスが必要になり、すぐに対処が難しいかもしれません。それならば、ボトルネックを先回りして、未然に防ぐサポート体制を整えることです。
シンプルに「つまづきポイント」に対して、事前説明をするコミュニケーションも役立ちます。また、顧客との「対話接点」を広く構築しておくのもよいでしょう。LINEやEメール、アプリなどが、その接点としても有効活用され始めています。
(3)ボトルネックの解消施策
ボトルネックを100%予防するというのは困難です。そのために、問題に直面した顧客に対して、「スピーディーに対処する方法」を準備します。リアルタイムに対処するのが理想で、企業側が何も対処できないのが最悪という想定でアプローチを整理します。
一般的には、チャットボットやFAQなどの活用促進がテーマになる企業が多そうです。タイパを考えるなら「顧客の労力を減らす」という観点で、チャットボットによるリアルタイム回答や、FAQによるSEO対策(グーグル検索したらサイト遷移しなくても結果が出る)例が挙げられます。
(2)(3)ともに重要なのが、企業側の力量です。ここでいう力量は、解決策を実行できる能力、という意味です。自動化の場合は、「必要なデータがそろっているか」「データを活用した仕組みを構築できるか」という企業のアセットがキーになるのでセットで考えましょう。
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