お客さまにいかに「行動」させないか カスタマーサービスができること:ポイントは3つ(3/4 ページ)
お客さまにいかに行動させないか――。カスタマーサポートは引き算の接客を意識しています。「タイパ」が求められている時代に、どのようなことができるのでしょうか。
最新事例の紹介
タイパの高い顧客体験を実現している会社の事例です。
1社目は、SBI証券の事例です。証券会社の中でも、株式などのやりとりをする際に顧客がスムーズにお問い合わせができるチャットボットやFAQ(セルフサービス)が充実しており、HDI格付けのWebサポート分野で同業界ナンバーワンに輝いています。SBI証券が、一歩進んでいるのは「困りごとを先読みする」セルフサービスを提供していることです。
一般的なFAQ利用者は、「○○ができない」などと検索し回答を探します。SBI証券は、この「探す手間」をデータ活用で省いています。例えば、顧客にエラーメッセージが表示されると、「メッセージ内容」「利用ブラウザ」をチャットボットが把握し、問題解決策を予測して提示します。顧客にとって「エラーメッセージを確認して検索する」「利用ブラウザを選択して対処方法を探す」という2行程の引き算を実現しています。
2社目は、三井ダイレクト損保の事例です。損害保険のコンタクトセンターは、大きな天候不良時に、事故・災害に関する問い合わせが増える傾向があります。従来は、センターへの入電内容で各地域の状況を把握しますが、その手法では営業時間外の問題をキャッチアップできません。
そこで、チャットボットを24時間稼働させることで、「簡単な質問への自動対応」と「営業時間外のキャッチアップ体制」を整えました。これにより、「○○地域で故障の問い合わせが増加」といった緊急度の高い声を把握し、顧客状況に合わせた案内を朝一番に送れるようになりました。多くの顧客の不安解消をスピーディーかつ正確に対応できる手法は、タイパの高い顧客体験を実現しています。
顧客データを活用した広告は企業利益が先行するあまり、「気持ち悪い」と言われがちです。しかし、顧客データを活用したカスタマーサポートは顧客ファーストな体験を提供でき、「心地よい」と感じていただけることが多いのではないでしょうか。このようなデータ活用は、カスタマーサポート業界では発展途上であり、業界全体の改善余地が大きいと感じます。
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