「本物のハンバーガーを伝えたい」 王者マックに“ケンカ?”も仕掛けるバーガーキングの強気な戦略とは?:3年連続売り上げ130%以上を達成(3/5 ページ)
日本において圧倒的な支持を集めるハンバーガーチェーンといえば、「マクドナルド」。そんな“マック一強”と思われる日本において、昨今成長を続けるのが「バーガーキング」だ。「本物のハンバーガーを伝えることが私たちの役目」――野村代表が語る戦略とは。
「常に強気」なブランド姿勢
同社は期間限定商品の開発にも注力している。ビーフパティ3枚とゴーダチーズスライス6枚を使用した「トリプルビーフ・ゲレンデ」や、ビーフパティ4枚、ベーコン4枚、チェダーチーズスライス4枚と野菜を使用した「マキシマム超ワンパウンドビーフバーガー」(22年7月に発売、現在は販売終了)など、大きくてインパクトのある商品を販売してきた。
商品開発では、味や商品名、キービジュアルの背景や商品画像に統一感を持たせ、大胆かつ力強い、ユニークな商品を展開することを意識している。
「商品開発では、『どんな人が、どのような気分で食べているのだろう』と考え、力強く、楽しく伝えることを意識しています。例えば、トリプルビーフ・ゲレンデも『チーズバーガービッグ』ではなく、『ゲレンデ』と力強く伝えるからこそ面白さや楽しさがある気がしませんか?」
「消費者がブランド姿勢を評価しているわけではないと思います。あくまで自己満足です。常に強がって、頑張ってしまっているバーガーキングの姿勢がお客さまに伝わって、『またバカなことをやっているけど、こういうところが好きなんだよね』『公式がこんなことをするなんて面白い会社だ』と思ってもらえるだけで十分なのです」(野村氏)
マックを意識した広告が大バズり
「常に強気」なブランド姿勢は、広告やプロモーションでも意識している。代表的な事例は、20年の秋葉原店の「縦読み」広告だ。バーガーキング秋葉原昭和通り店の2軒隣にあったマクドナルド秋葉原昭和通り店の閉店が決まった際、同社はマクドナルドに感謝を伝えるポスターを掲示した。
一見バーガーキングがマックをねぎらう感動的なポスターのように見えるが、文章を縦読みすると「私たちの勝チ」という言葉が――。当時はSNSを中心に盛大な盛り上がりを見せた。
「私たちはあくまで『22年間たくさんのハッピーをありがとう』というポスターを出しただけで、縦読みに関しては『お客さまが自由な発想のもとでそのように感じたのであれば、そうかもしれません』という姿勢です」
「マックは大手だからこそ、振り向かないという自信もあります。もしここでマックが振り向いたら、私たちの勝ち。私たちは『マックさんありがとう』と、それをネタにしますから」(野村氏)
同社は広告、プロモーションにおいて「ピンをどこに置くか」を強く意識しているという。施策を講じるうえで、「称賛」と「批判」のどちらに寄せるかを吟味する。
「炎上させるのはすごく簡単です。また、称賛を集めることもそんなに難しいわけではありません。広告費をたくさん使ってCMを打てばいいのですから。
私たちのように広告費に回せるお金が少ない場合は、『称賛』と『批判』のちょうど真ん中にピンを置くんです。すると、称賛派と批判派の両方からの興味が集まり、バズることができます」(野村氏)
秋葉原の広告を筆頭に、バーガーキングは度々バズっている印象がある。しかし、実はもっとたくさんの施策を行っているものの、ほとんどが世間に気付かれていないのだという。
例えば、Twitter上で「バーガーキング与野駅前店が『バーガーキングの駅』みたい」という声があった際、同社はグーグルマップで同店の名称を「バーガーキング駅」に変更。しかし、誰にも気づいてもらえなかったという。
また、クリスマスに1人用セット「ぼっちバーレる」を販売した際も、グーグルマップ上で渋谷センター街店を「渋谷ロンリーガイ店」に変更した。こちらは1人だけ気付いてくれたらしい。
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