なぜ私鉄で「一部有料座席」が増えているのか? 「座りたい」ニーズをつかむ各社の工夫:関東と関西で違いも(1/4 ページ)
鉄道各社では近年、「有料座席指定車両」の導入が相次いでいる。特に、列車編成の一部のみを有料座席指定車両にするケースが多い。その理由に、鉄道各社の工夫が見える。
追加料金を支払ってでも電車で快適に座りたい――。そういった乗客のニーズに応えるため、鉄道各社は動き始めている。
阪神電気鉄道は「有料座席車両」の導入を検討していると、日経新聞は2月3日付で報じた。同社は2022年12月23日から1月20日にかけての毎週金曜夜(12月30日をのぞき)に、大阪梅田から青木までの夜間有料臨時列車「らくやんライナー」を運行した。
この列車は定員180人とし、大阪梅田で150人、野田で30人が乗車可能。尼崎以降は降車専用となっている。報道によると満席に近い利用率で、本格的な導入ができるかどうかについて検討しているという。その場合、通常の列車に人数制限をかけるか、専用車両を開発するかについては詳細を今後詰めていくとしている。
増える有料座席指定列車
私鉄各社では、有料の座席指定列車の導入が相次いでいる。一部を座席指定にするパターンもあれば、列車編成を丸ごと座席指定にするパターンもある。
後者のパターンは関東で多く見られる。関東私鉄では定期券と特急券を併用できるケースが多いため、ロングシート(窓側を背にした座席)とクロスシート(列車の進行方向を向いた、ゆとりのある座席)を転換可能な車両を活用し、特定の時間帯に全ての座席をクロスシートに転換させる「通勤ライナー」的な運用をするケースが多く見られる。
例えば東武鉄道の「TJライナー」を皮切りに、京王電鉄の「京王ライナー」、西武鉄道の「S-TRAIN」「拝島ライナー」、京急電鉄の「モーニング・ウィング」「イブニング・ウィング」、また東武鉄道では東京メトロ日比谷線からの直通運転列車「THライナー」があてはまり、これらは各社の人気列車となっている。
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