SFA導入で満足している日本企業に伝えたい、米国の「営業DX」新トレンド:「マネジャー不要論」も(1/3 ページ)
コロナ禍以降、ツールの導入などを中心に進んだ営業DX。しかし、日本の先を行く米国では、もう一歩進んだトランスフォーメーションの波が起こっているという。
セールスフォース・ジャパンがWebサイト上で公開しているコラムで、「大手企業のSFA導入率」を公開している。2018年に実施した調査ではあるが、結果を見て驚いた。大手企業になるほど、つまり従業員規模が膨らむほど、SFA(Sales Force Automation、営業支援ツール)の導入が進んでいる。営業担当の人数が増えれば増えるほど、営業のマネジメントを行い、生産性を高めるニーズが強くなるからだと思われる。
従業員が1000人以上の日本の大手企業は、18年時点で既に90%以上がSFAを導入しているようだ。もちろん、SFAを導入していることと、しっかり営業現場で運用して効果を出しているのかは別の話になるが、コロナ禍が到来する前に「大手企業の9割近くが導入していた」という事実はインパクトがある。あらためて、日本企業は大手を中心に営業DXのエントリーができている、と認識できた。
セールスフォース、もともとは中小企業向けだった
SFAの代表格であるセールスフォース。今や大手向けのイメージも強いが、当初はそうではなかった。中小企業やスタートアップ企業の契約が多い製品だったのだ。
米国でセールスフォース・ドットコムが設立されたのが1999年。そして、日本法人が設立されたのが翌2000年。2000年といえば、ドットコムバブルが崩壊し始めた年でもある。00年から2年近くにわたり発生したドットコムバブル崩壊の悪影響から、倒産するスタートアップ企業が増え、対象を大手企業に変更せざるを得なかった。
02年にはネットスケープの営業部門を立ち上げたデイビット・ルドヌツキーをヘッドハンティングし、大手企業向け営業に舵を振り切った。そして、04年のニューヨーク証券取引所の上場を機会にさらに大手向け営業を加速させていった。いまや営業のバイブルになっている書籍『THE MODEL』の著者である福田康隆氏がセールスフォースにジョインしたのも04年だ。
米国のセールスフォースは大手企業の事例をもとにさらに他の類似企業に展開する営業戦略を進めていた。日本でも同様に、07年の日本郵政公社の事例をもとに、一気に大手企業へと展開がなされた。
こうした流れもあり、日本の大手企業で営業のツールを入れるとしたらSFA、営業DXといえばまずSFA――といったイメージが強い。繰り返すが、これは歴史的にセールスフォースの営業活動が、大手企業に注力して一気に拡大していったからだ。
新興セールステック企業による「第2の営業DX」の波
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