「ランドセルは義務?」「重すぎる!」 新型の通学バッグが次々と登場する背景:軽さと機能性(3/5 ページ)
小学生向けに、ナイロンやポリエステル製の新型通学バッグを開発する動きが強まっている。各企業にその狙いや購入している層のニーズを聞いた。
貸し出しサービスを実施
フットマークでは、20年4月に通学カバン「ラクサックジュニア」を発売した。素材はポリエステル100%で、低学年向けの重さは830グラムとしていた。
ラクサックジュニアは、革製ランドセルに代わる商品として企画した。もともと同社では、中高生の体に負担が少なくなるように開発した通学カバン「ラクサックオリジナル」を17年に発売していた。小学生向けのランドセルに参入した狙いについて、学校教育事業部の佐野玲子氏は「小学生向けの商品がほしいという声があったのが理由の1つです。また、私の娘が小学校に入学したことも、開発に着手するきっかけになりました。ランドセルが重くて、バランスをとろうとして猫背になったり、尻もちをついたりしていたのです」と説明する。
ラクサックジュニアは、荷物をまとめて固定させる独自開発の「ブックストラップ」や、3Dパターンで設計した肩ベルトが特徴。背中へのフィット性を高めて、たくさんの荷物を入れても軽く感じられるようにしている。また、荷物をしまいやすくしたり、中身を整理しやすくしたりする目的で、カバンの全面がスーツケースのように大きく開くようになっている。
その後、同社では成長に合わせて買い替えができるように、高学年向けの商品も投入ている。
ランドセルといえば革製というイメージを持つ保護者が圧倒的に多い。大手小売りチェーンや、専業メーカーの商品を調べるケースが大半だが、同社ではどうやって商品をアピールしたのか。
同社の山田樹氏によると、当初はインターネット広告や公式インスタグラムで地道にアピールをしていたという。また、ラクサックジュニアの貸し出しサービスも実施して実際に試してもらうようにした。「『ランドセル』『軽い』などと検索し、貸し出しサービスの存在を知るお客さまが多いようです」(山田氏)。貸し出しサービス利用者の約半数がそのまま購入している。
発売当初は、「革製のランドセルを買ったけど、重くて子どもが困っている」という親が購入するケースが多かった。その後、徐々に小学校1年目から利用するために買い求めるケースが増えていった。そこで、同社ではかぶせを合皮素材に改良し、デザインを革製ランドセルに近づけた新モデル「ラクサックジュニアプラス」を22年11月に発売した。低学年用が1万6500円で、重さは890グラムだ。
ラクサックジュニアの販売数を見ると、21年が前年比235%、22年は同200%と確実に増えているという。
順調に売り上げを増やしているラクサックジュニアだが、課題もあるようだ。
ある保護者が「普通の革製ランドセルではないですが、ラクサックで問題はありませんか」と自分の子どもが通う予定の小学校の教師に尋ねた。すると、「学校のルール上は問題ありませんが、他の児童と違う見た目なので、いじめの対象になってしまうかもしれません」と回答されたという。
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