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グーグル・メタを差し置いて、アマゾンの広告事業が伸び続ける3つの理由 石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(1/4 ページ)

米国のテック業界で不景気が続いている。グーグルやメタの広告収入が大きく減少している中、アマゾンの広告事業は前年同期比19%増と好調だ。なぜ、アマゾンの広告事業は伸び続けるのか、その裏側とは──?

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 米国のテック業界で不景気が続き、リストラなどのニュースが絶えません。今回は特に、広告事業の現状について取り上げます。


グーグル本社(提供:ゲッティイメージズ)

 広告と聞くと、真っ先にグーグルとメタ(旧:フェイスブック)を思い浮かべる人が多いと思います。2月2日(米国時間)に発表されたAlphabetの決算によると、グーグルの総広告収入は前年同時期の694億ドル(約9兆1500億円)から678億ドル(約8兆9000億円)と、同社史上2度目の減少となりました。

 最近では、YouTubeの広告費の縮小によりYouTuberが稼げなくなったという問題がよく取り上げられていますが、YouTubeだけの問題ではなく、検索事業も含めた広告収入全体が減少していることがポイントです。具体的には、YouTube広告が86億ドルから80億ドル、検索広告が433億ドルから426億ドル、グーグルが他のWebサイトに表示する広告は93億ドルから85億ドルにそれぞれ減収しています。

 米国時間2月1日に発表されたメタの決算にも同様の傾向が見られ、広告収入は前年同期の326億ドルから312億ドルに減少しました。

なぜ、こんなことに?

 商品などの認知を促すその他大手4マス広告(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)と比べると、購買に直結しやすいネット検索の広告(アドワーズなど)はこれまで、不景気に伴うコスト削減の影響を受けにくいと言われていました。そのため、テック各社の広告収益の減少は米国で驚きを持って報道されています。

 一方で、そもそもこの縮小傾向は一過性のものではなく、インターネットの広告市場自体がもはや飽和状態にあり、低成長市場になっていることに起因しているという意見もあります。例えば、メタではコロナ禍の2020年最終四半期において、広告収入31%増という大幅な成長を記録していましたが、現在の成長率はわずか約2%と言われています。グーグルも苦戦しており、例えばYouTubeでの広告収入の合計は79.6億ドルで、前年の86.3億ドルから7.8%減になっています。

 メタの最高財務責任者(CFO)のスーザン・リー氏が、「予想通り、第4四半期の収益は広告需要の低迷による圧力を受け続け、不確実で不安定なマクロ経済情勢の影響を受け続けていると考えている」と述べた上で、すぐの需要回復は見込めないという見解を示したことからも、広告需要の低迷トレンドが深刻だと分かります。

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