JR東、「JRE POINTステージ」開始 背景に見える“経済圏”構想:ポイント競争に勝ちに行く(3/3 ページ)
R東日本は「JRE POINTステージ」の開始した。ポイントの利用状況によって会員に4段階のステージが設定され、特典を付与するサービスだ。このサービスの狙い、戦略について考察する。
JRE POINTステージは、ポイントの獲得と利用状況によって特典が得られるプログラムである。「ステージ1」から「プレミアム」までの4段階が用意されている。
初回のステージは23年3月から8月までの6カ月間の利用状況で決まり、以降6カ月ごとに集計する。特典の利用は10月1日から可能だ。
ステージに応じて会員限定クーポンの配信、同社の直営レストランでの優待、クルーズトレイン「TRAIN SUITE四季島」の申し込み優先権などの特典を付与する。
なぜポイントサービスを強化するのか
メジャーなポイントサービスは、ポイントが利用可能な店舗を増やしたり、還元倍率をアップしたりして利用者のロイヤリティを高めようとしている。
楽天ポイントが同社直営のサービスだけではなく、書店やスーパーなどさまざまなお店でポイントが貯まるようにし、「楽天経済圏」を広げようとしているのもその一例だ。
最近では、楽天の資本を受け入れたスーパーマーケット「西友」で楽天ポイントが貯まるようになり、高い還元率に惹きつけられて楽天ポイントを貯める人が増えている。こういった囲い込みがポイントサービスの最大の役割である。
JR東も鉄道事業単体ではなく、駅周辺のビジネスも独占することで利益を上げてきた企業の一つである。JRE POINTステージは、いわば「JRE経済圏」を一段と強めようとするものだ。
同社は楽天銀行と提携することで、新たに銀行代理業も開始しようとしており、こちらもポイントが貯まる仕組みに組み込まれることが予想される。
JR東が今後新たに生み出すサービスにもポイントが貯まる機会を絡め、利用者に高いロイヤリティを持ってもらうというのがJRE POINTステージの意図だろう。
現状では会員が「プレミアム」になるのはそう簡単ではない。しかし会員がそれぞれ工夫してポイントが貯まりやすい行動を取るような状況を作れれば、「JRE経済圏」はより強い体制になり、それが総合企業としてのJR東を作りあげることにつながるのではないだろうか。
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