大規模災害にコンビニはどう備える? BCP改定の狙い:更新を続ける(1/2 ページ)
大手コンビニのBCP(事業継続計画)はどうなっているのか。東日本大震災が発生した3月11日を前にいくつかの事例を調べた。
災害が発生した地域でライフラインとして頼られるのがコンビニだ。被災した店舗がなるべく早く復旧するには、しっかりとしたBCP(事業継続計画)が欠かせない。どういった備えをしているのか、いくつかの事例を調べた。
セブンの大幅改定
セブン‐イレブン・ジャパンは2021年3月、BCPを大幅に改定している。「大規模風水害」「首都直下地震」「南海トラフ地震」「新型インフルエンザなどの感染拡大」の事態別計画を定めたのが大きな特徴だ。
こうした細かい対応をした背景について担当者は「日本全国に2万1000店舗以上を展開するフランチャイズ・チェーンであり、全国的に起きるさまざまな災害リスクに対応する必要がある。また、社員や加盟店だけでなく、サプライチェーン全体、お客さま、地域社会も重要なステークホルダーであり、災害対応にあたっては幅広い目配り、気配りを心掛ける必要がある」と説明する。
日常的に発生する風水害や、今後30年以内に発生する可能性が高い首都直下地震、南海トラフ地震、新型インフルエンザなど感染症に対しては優先して事態別計画を作成したという。
具体的にどういったことに注意して計画を立案したのか。例えば、風水害の事態別計画は20年9月に実施した図上演習の成果を踏まえて作成したという。演習は、大型台風が上陸する5日前からスタートし、商品の製造、配送、店舗が台風上陸時に遭遇する状況を予期しながら上陸前に計画休業を災害対策本部で決めるというものだ。
実際、この演習の成果は20年に台風10号が接近する2日前に発表した約1000店舗の計画休業につながっているという。
首都直下地震についても、停電や断水、道路交通規制の状況などをシミュレーションしている。
基本計画や事態別計画を具体化する手段として、「ポケット版災害ガイド」を全社員に、全加盟店には「店舗用災害対応マニュアル」をそれぞれ配布しており、災害発生時にとるべき対応の細部や連絡先を具体的に示している。
BCPの実効性を高めるために、普段はどういった訓練などを行っているのか。同社の場合、「毎年1回以上、社長以下で図上演習を実施し、経営層の災害対応能力向上を図るとともに、BCP改定に資する課題を抽出している」(担当者)という。また、各地区の責任者を現地対策本部長とした演習を年5〜7回実施している。これらの演習は地域ごとに実際に起こる可能性が高い状況を想定しており、「地区事務所所在の幹部に真剣に考えさせる内容となっている」(担当者)という。例えば、北海道では北海道・三陸沖地震の演習を、西日本地域では南海トラフ地震の演習を実施している。
このように毎年実施している図上演習や実際の災害対応などで得た教訓や、法令や社会環境の変化を踏まえ毎年BCPの改定を行っているという。
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