攻めのコンタクトセンターになるには? 最初の一歩は「三方良し」の思想:明日からできる(1/3 ページ)
コンタクトセンターにおける課題は、さまざまあるが、明日からできることは何か。デジタルシフトために、あえてデジタルという枠から離れることが大事で……。
(1)明日からできるデジタルシフト
5回にわたり連載してきました。コンタクトセンターにおける課題は、さまざまありますが、一番の課題は何か? と問われた場合、おそらく「人」にまつわる課題が最も優先度が高いと思います。
3つ例をあげてみましょう。
(a)外部環境としても人の採用の難易度は上がっていますし、長く働いてもらうために「気持ちよく働いてもらうには?」「適切なスキルを向上させてもらうには?」というようなマネジメントを実行していく必要があります。ここでキーはマネージャー層の配置・採用・育成です。
(b)顧客がデジタルを扱うことが当たり前になっている昨今、企業が提供するサービスもそれに対応した顧客体験の設計、サービスを届けるためのオペレーションの構築・運用改善が必要です。そこもデジタルを扱える人をいかに配置・採用・育成するのか? という問題がキーとなります。
(c)デジタルチャネルを扱う際には、コンタクトセンター内の枠を超えて、多くのステークホルダー(社内のマーケティングやIT部門、パートナー企業など)を巻き込んだプロジェクト推進が必要となり、そのような役割を担える人材の登用もチャレンジになりそうです。
このように、デジタルシフトへの起点になるのは実はシステムではなく「人」であり、「人」の問題を放置してシステムなどの構築から入ると本質的な解決にはなり得ません。
デジタルトランスフォーメーションの定義についてはさまざまな見解がありますが、ウメオ大学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授によると「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」であり、それが本来の意味合いであると定義されています。(参照リンク)
つまり、デジタルを活用して企業の効率化を図るであるとか、自動化を導入してサービスレベルを上げるというだけでなく、「人々の生活をあらゆる面で」という観点で、関わるステークホルダー全員を良い方向に導くことができるか? という視点が必要になると考えています。日本には昔から「三方良し」という商売の思想がありますが、DXは本来であれば「デジタル時代の三方良し」という思想なのではないでしょうか。
デジタルシフトのために明日からできること(さらに強化するという意味でも)は、あえてデジタルという枠から離れてみましょう。まずは自分たちのチームが「デジタル時代の三方良し」を体現するために、何ができるのか。会社を主語にせず、自分(自社)、相手(顧客)、世間(世の中)に、「自分たちで」いい影響を与えることができることはないのか? というテーマで話し合ってみることをお勧めします。
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