賃上げできない中小企業はどうする? 小さな保育園の「福利厚生」から学べること:単なるマネはダメ(3/5 ページ)
賃上げする企業が相次いでいるが、賃上げできない中小企業はどうすべきか? 筆者は独自の「福利厚生」に取り組むべきだと指摘する。
ユニークな福利厚生
中小企業でこうした福利厚生に力を入れ、さらに企業のブランディングとしても活用し、採用にもつなげている事例としては以下のようなものが挙げられます。
ユニークかつ時代に合ったものだと私が思うのは、中西製作所(大阪市)の「給食費補助制度」です。社員の子ども1人につき年間5万円を上限として、給食費の実費を支給します。子どものいる家庭にとって、毎月の給食費は意外と負担が大きいです。それを会社が負担してくれるというのは聞いたことがありません。
同社は全国の学校給食室や給食センター向けに厨房機器の製造・販売を手掛けています。ですから、仕事と子育ての両立や少子化対策につながる施策をいろいろと考えて実行しているのです。この取り組みはテレビのニュースで取り上げられており、会社の認知度が上がった一つの事例です(参考:プレスリリース)。
これ以外にも、応接室や会議室をお昼寝用に開放する「お昼寝スペース制度」(GMOインターネット)や、実家に帰省する費用を負担する「ゴーホーム制度」(チャットワーク)など、企業独自の姿勢が見て取れます。
ユニークな福利厚生が増えてきたきっかけとなったのは、ふったサイコロの目で毎月の給与の増額分が決まる「サイコロ給」を導入した面白法人カヤック(神奈川県鎌倉市:広告、ネット関連事業)と、チームワークを充実させるためありとあらゆる制度改革を行ってきたサイボウズ(東京都中央区:クラウドサービスの開発、導入事業)ではないかと思います。
ここでは、サイボウズの取り組みから中小企業が検討すべき福利厚生を考えてみます。
関連記事
- イオン、パート「7%賃上げ」の衝撃! 「レジ打ち」が減った職場で起きる大変革とは
イオングループが自社のパート40万人の時給を7%引き上げると発表。イオンでも働き方が大きく変わり、他業界にも大きな影響がある。 - レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - なぜ女子の半分が泳いでないの? ジェンダーレス水着の開発者が語った“忘れられない光景”
フットマークのジェンダーレス水着が話題になっている。性の悩みだけでなく、さまざまな理由で「肌を隠したい」生徒のニーズに対応するのが狙い。開発者にその背景を聞いた。 - トイレ利用後に買い物しない人が約4割!? ローソンがトイレの扉にアートステッカーを貼った背景
全国のローソン店舗のトイレ付近に、アートステッカーを貼る取り組みを始めた。トイレをいつもきれいに使ってくれる人への感謝を示す。背景にあるコンビニトイレの課題とは? - ファミレスは危機に陥っている!? サイゼリヤとガストで明暗が分かれたワケ
ファミレスの2大巨頭「サイゼリヤ」と「すかいらーくHD」。すかいらーくの主力であるガストが、サイゼと比べて業績面で苦戦している。背景には何が?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.