賃上げできない中小企業はどうする? 小さな保育園の「福利厚生」から学べること:単なるマネはダメ(4/5 ページ)
賃上げする企業が相次いでいるが、賃上げできない中小企業はどうすべきか? 筆者は独自の「福利厚生」に取り組むべきだと指摘する。
チームワーク重視
サイボウズは、創業者の一人である青野慶久社長が、松下電工(現:パナソニック)を経て、1997年8月に愛媛県松山市に設立しました。M&Aの失敗、離職率の増加を機に「多様性」「公明正大」を軸にした、チームワークを重視する経営を続けてきています。
離職率が28%となった2005年以降、組織や評価制度を含めてさまざまな制度を見直してきました。ワークライフバランスに配慮した各種制度や社内コミュニケーションを活性化する施策に取り組み、現在の離職率は3〜5%程度にまで下がっています。
多様性を重視する会社だけあり、個人の柔軟な働き方を支援する制度がいろいろと用意されています。育児介護休暇、産前休暇、育自分休暇(希望者は最長6年間サイボウズへの復帰が可能)、子連れ出勤制度、働き方宣言、副(複)業許可などです。さすがに3回も育児休暇をとった青野社長の会社だけあり、子育て関連制度は手厚い印象です。子育てができないからという理由で優秀な社員を流出させないという同社の意思も感じられます。
子育てと同時に重視しているのがチームワークづくりであることが下記を見るとよく分かります。
社内のお世話になった人にありがとうを伝える「サイボウズオブザイヤー」や部活動支援、誕生日会、仕事Bar、部内イベント企画、感動課(社内イベントを企画する部署)の設置など、チームワークを充実させるためのさまざまな制度を用意しています。
これ以外にも、サイボウズでは多種多様なコミュニケーションをとる場を用意していて、「いかにチームとして動いていくか」「チームとして生産性を上げていくことで会社全体を伸ばしていく」を何よりも大切にしています。
22年の年間実績は増収減益だったようですが、23年は経常利益が前期比2.5倍と最高益を目指しています。
「チームワークあふれる『社会』を創る」が理想の姿。混迷の時代には同社のように、従業員のつながりや絆を強化するような福利厚生を中小企業は考えていくことが大切だと思います。
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