ミニストップ「おにぎり100円」終了の衝撃 あえて具材増量に踏み切ったワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/4 ページ)
ミニストップが「おにぎり100円」(税込108円)をやめた。差別化につながるポイントで、さまざまなメリットがあったはずだった。どうして値上げに踏み切ったのか。
なぜ100円にしたのか
ミニストップがおにぎり100円の施策を始めたのは、19年7月2日。全国約2000店舗で、本体価格を100円に統一した。「手巻き紅しゃけ」などは旧価格が130円だったので、後継の商品は30円もの大幅な値引となった。
ソフトクリーム、ハロハロ(かき氷デザート)、ポテトといった店内調理のファストフードに強みを持つミニストップだが、もう1本の柱が欲しかった。そこで、コンビニ各社のおにぎりの価格がジリジリと上がっていく中で、おにぎり100円という思い切った施策に踏み切った。
よく知られているように、コンビニの平均日販は、チェーンによって格差がある。
21年2月期では、セブン-イレブンは64.2万円、ファミリーマートは49.3万円、ローソンは48.6万円。ミニストップは41.2万円で、上位3社、特にセブン-イレブンには大きく水をあけられている。
そこで、思い切った値下げで顧客増を狙う戦略は決して悪くはない。
100円にまで値下げしても品質を保つため、各工場で25品ほど製造していたおにぎりのアイテムを15品に絞り込んだ。
効果としては、19年7〜9月のおにぎりの販売個数が、前年同期の2倍に急増。これまでチルドの麺やファストフードだけを買っていた人が、おにぎりも一緒に買うといったような潜在的な需要を開拓した。
また、売れ筋にも変化があり、不動の1位だったツナマヨネーズより、紅しゃけのほうが売れるようになった。
そればかりでなく、近くの学校で運動会がある日には、これまで以上にまとめ買いがあった。また、お祭のような催事で配るための特注も増えた。
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