ミニストップ「おにぎり100円」終了の衝撃 あえて具材増量に踏み切ったワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/4 ページ)
ミニストップが「おにぎり100円」(税込108円)をやめた。差別化につながるポイントで、さまざまなメリットがあったはずだった。どうして値上げに踏み切ったのか。
消えた駅弁風弁当
ミニストップはおにぎり100円を手掛けていた頃は、弁当でもとがった商品を出していた。駅弁風弁当はその最たるものだった。21年1月から約1年間シリーズ化され、累計100万食以上を販売した。
狙いとしては、コロナ禍で旅行に行けない人に旅気分を味わってもらう趣旨。鮭はらこめし、穴子めし、たこめしなどを続々と発売。サイズが小さめだったことから女性や高齢者にも好評だった。
従来、コンビニに来なかった顧客も開拓した非常に優れた企画だった。
タレ弁は前出の鳥羽シェフとの共同開発で、タレをかけることでおいしさが広がる新発想の弁当。駅弁風弁当に代わって販売された。22年3月にまず、「チャーシュー弁当」「豚生姜焼き弁当」を発売。昼前に売り切れる店が続出し、幻の弁当と化したほどだった。
これも、人気のシリーズとなったが現状は新商品が販売されていない。
駅弁風弁当はサイズが小さめ、タレ弁もどちらかというと小さめだった。どうも、そこが長続きしなかった原因らしい。
同社・広報によると、ミニストップの弁当の売れ筋は「でか盛り」なのだそうだ。
このように、ミニストップのおにぎりは100円均一を捨て、付加価値追求型に変わった。結果として、競合他社との違いが分かりにくくなったのも事実。これからどう差別化していくかに注目したい。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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