中小企業の約6割「賃上げ予定」 昨年より「ベースアップ」が増加した背景は?:インフレ手当支給は14.9%(2/2 ページ)
採用業務クラウドを提供するネットオン(大阪市北区)は、中小企業の人事・採用担当者を対象に「賃上げ」に関するアンケート調査を実施した。2023年度の賃上げ予定について聞いたところ、54.6%が「実施する予定」と回答した。
賃上げを実施する理由、しない理由
賃上げを実施する理由1位は「従業員の生活を支えるため」(58.5%)、2位は「従業員の定着率向上(引き留め)のため」(52.5%)、3位は「物価高騰による生活費増加に対応するため」(47.5%)だった。
一方、「人材採用のため」(28.4%)、「業界の給与水準に合わせるため」(20.8%)、「業績が伸びた(回復した)ため」(18.6%)は30%未満に留まった。
一方、賃上げをしない理由を聞いたところ、1位は「業績の向上(回復)が見込まれていないため」(47.4%)だった。以下「現在の賃金が適切であるため」(37.5%)、「物価高や円安によるコスト増加のため」(34.2%)と続く。中小企業の厳しい経営状況がうかがえる一方、現状では賃上げの必要性を感じていない事業所も少なくないことが分かった。
インフレ手当を支給するか
物価高騰に対応するためのインフレ手当(特別手当)を支給するかどうか聞いたところ、支給する事業所は14.9%に留まった。賃上げを実施する事業所は半数を超えたが、インフレ手当については大半の事業所が支給しないようだ。
ネットオンは、「23年度は大手主要企業が高水準の賃上げを予定していて、中小企業との格差拡大が懸念されているが、今回の調査結果からは中小企業間における格差の広がりも進んでいることがうかがえた。コロナ禍以降、中小企業にとって厳しい状況が続いているが、企業の存続・成長には人材の確保と定着が不可欠であり、そのための持続的な賃上げは最重要課題の一つである」とコメントした。
今回の調査は、ネットオンが運営する「採用係長」の登録ユーザーである中小企業の人事・採用担当者を対象に、インターネットで実施した。期間は3月9〜16日、有効回答数は335人。
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