「ポン!」の音が消えた 脱ハンコが広がって、シヤチハタはどんな手を打ったのか:週末に「へえ」な話(1/4 ページ)
「脱ハンコ」の動きが広まっているが、大手ハンコメーカーのシヤチハタはどのように対応しているのだろうか。時代の流れに取り残されているのでは? と思いきや、自社の技術を生かして「B2C」でヒット商品を連発していたのだ。担当者に開発の秘話を聞いたところ……。
ポン、ポン、ポン――。部長が目の前にある書類に、次々とハンコを押していく。昭和の映画やドラマを見ると、このステレオタイプともいえるシーンをよく目にしたが、最近はめっきり少なくなった。
それもそのはず。世の中は「脱ハンコ」である。10年ほど前から「上司がハンコをポンポン押してるけれど、本当に必要なの?」といった声が出ていたが、新型コロナの影響でこの流れは一気に広まった。
となると気になるのは、ハンコメーカーの動向である。ちょっと興味のアンテナに引っかかったので、大手のシヤチハタがどのような動きをしているのか調べてみた。文具コーナーに足を運ぶと、「いろもよう」(650円+税)と書かれた商品が目に飛び込んできたのである。
いろもようとは、2020年2月に登場したスタンプ台のこと。速乾性のあるインクと繊細な盤面技術を生かしていて、全29色を展開している。「木賊色(とくさいろ)」「朽葉色(くちばいろ)」「浅葱色(あさぎいろ)」など、見たことも聞いたこともない色がズラリと並んでいるが、消費者に支持されているのだろうか。
シヤチハタの担当者に確認したところ、「ハンコを使った創作や日記のデコレーションなどを楽しむ人に売れていまして、約3年で46万個以上も売れました」とのこと。
ヒット商品は、まだまだある。ダイヤルを回すと印面が変わって、1つで13種類の絵柄を楽しめる「回転デコレーションスタンプ」(1500円+税)も人気を集めている。「ねこ」「植物」「食べ物」といったデザインが施されていて、手帳やメッセージカードなどにポンポンと押す。デコレーションを楽しみたい人に支持されていて、こちらは発売3カ月で1万個が売れた。
関連記事
- ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - バーガーキングがまたやらかした なぜマクドナルドを“イジる”のか
バーガーキングがまたやらからしている。広告を使って、マクドナルドをイジっているのだ。過去をさかのぼると、バーガーキングは絶対王者マックを何度もイジっているわけだが、なぜこのような行動をとるのか。海外に目を向けても同じようなことをしていて……。 - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 「70歳まで会社にしがみつく人」が結局、会社を弱体化させてしまうワケ
定年を引き上げるニュースが相次いでる。現行の60歳から65歳にする企業が増えてきているわけだが、筆者の窪田氏はこの動きに懸念を抱いている。「長く働くことができていいじゃないか」と思われたかもしれないが……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.