続く閉店ラッシュ…… 生き残る「和菓子店」は何が違う? プロが注目する京都の有名店:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/7 ページ)
コロナ禍で有名な老舗和菓子店の閉店が相次いでいる。その一方で、革新的な商品を次々と生み出すお店もある。プロが注目する京都の繁盛店とは?
回復基調か?
紀の国屋の破綻は店舗数も多く、贔屓(ひいき)にしていた地元民も多かったので、和菓子店の厳しい経営環境が広く知られるようになった。しかし、紀の国屋には救世主がいた。同チェーンのコンサルティングに入っていた企業が、元社員の一部を雇用して「匠紀の国屋」として復活している。
しかし、このように復活できた店は例外で、多くは伝統の銘菓が味の承継もされることなく消滅している。非常にもったいないことだ。後継者難、慢性的な売り上げ不振、顧客が高齢化して若い人に受けないなど、遠因はさまざまある。しかし、直接のきっかけがコロナ禍という特殊事情による顧客減なのが悲しいところだ。
矢野経済研究所が4月5日に発表した「和洋菓子・デザート類市場規模推移・予想」によれば、和洋菓子を合わせた数値ではあるが、コロナ前(19年度)の2兆2833億円に対して、20年度は2兆1535億円、21年度は2兆1430億円、22年度(予想値)は2兆1850億円となっている(いずれもメーカー出荷ベース)。
17年度が2兆2761億円、18年度が2兆2907億円であった。コロナ禍に入った後、20年度は前年比で94.7%と落ち込んでいる。だが、22年度には上向きに転じている。
菓子全体として見た場合、外食のように極端に売り上げが落ち込んだわけではない。ちなみに、日本フードサービス協会によれば、外食は20年は19年比で84.9%と2桁減。22年には、19年比で94.2%にまで売り上げを戻した。一方、お酒を主体とするパブ/居酒屋は49.2%で、コロナ前の半分にも達しなかった。
和菓子店も、立地が都心型、観光立地型ならば苦しかったと思う。しかし、巣ごもり需要が高まったので、地元に密着した住宅街立地、郊外型ロードサイドの店舗であればそこまで苦しかったとは思えない。
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