「ららぽーと門真」、アウトレットと禁断の合体!? 大型商業施設の“二刀流”戦略:将来は「三刀流」に(1/5 ページ)
4月17日に大阪・門真(かどま)に新しい施設がオープンした。ららぽーと、アウトレットパークの2業態複合型。この組み合わせはなぜ「禁じ手」とされてきたのか?
2022年4月、福岡市にららぽーと福岡がオープンしました。現地を訪れた私は、新しいショッピングセンター(SC)の潮流を感じたという趣旨の記事を書きました(出所:参考記事)。そして、今年の4月17日には大阪・門真(かどま)に新しい施設がオープンしました。
オープンしたのは「三井ショッピングパーク ららぽーと門真」(以下、ららぽーと門真)と「三井アウトレットパーク 大阪門真」(以下、MOP 大阪門真)です。三井不動産初となる2業態複合型で、珍しいモールとなります。
私は「ついに『禁じ手』の封印が解かれたか!」という印象を持ちました。
なぜこの組み合わせが禁じ手なのか。なぜ、これまでのSC開発では見かけなかったのか。その狙いはどこにあるのか――同施設の斬新さを、小売り・サービス業のコンサルティングを30年間続けてきたムガマエ株式会社代表の岩崎剛幸が分析していきます。
日本のSCは減少傾向にある
日本のSCは今どのような状況にあるのでしょうか。
日本には3169カ所のSCがあります(21年末時点)。20年末時点では3195カ所でしたので、1年間で26カ所減少したことになります。
これを規模・立地別に見ると「小型・周辺立地」のSCが減少し始め、「大型」のSCが増加していることが分かります。広域から集客するタイプのSC、いわゆるリージョナル型SCが日本では増加しています。
背景には何があるのでしょうか。
日本のメーカーが海外生産に切り替えて国内の大規模工場を閉鎖し、売却した土地を有効利用するために商業施設を誘致する動きが強まっています。また、デベロッパーが土地を購入して利活用する形態が増えたことも大きな要因です。
00年に大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行された後、日本のSC数は一気に増加しました。しかしその後、新規開発は減少し始めます。18年には日本全国で3220カ所だったのがピークで、現在は3169カ所となっています。
SCを開発すればデベロッパーはもうかる、テナントはSCに出店場所を確保さえすれば成長できるというモデルは崩れ始めています。
日本のSCは郊外を含む周辺立地にそのほとんどが存在しており、規模は3万平米以下が全体の8割程度です。米国のように超大型のリージョナル型(広域型)が中心ではありません。また、出店して20年以上たつ高齢化したSCも目立ち始めました。施設もテナントも古く、小〜中規模のSCが同一商圏内に密集し、それぞれで顧客を奪い合っています。結果的に1つのSC当りの売り上げが減少傾向に入っている。これが今の日本のSCの実態です。これからは明確な独自性をもったSCでなければ、生き残っていけないのです。
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