「ららぽーと門真」、アウトレットと禁断の合体!? 大型商業施設の“二刀流”戦略:将来は「三刀流」に(2/5 ページ)
4月17日に大阪・門真(かどま)に新しい施設がオープンした。ららぽーと、アウトレットパークの2業態複合型。この組み合わせはなぜ「禁じ手」とされてきたのか?
ららぽーと門真は二刀流
このような中でららぽーと門真とMOP 大阪門真がオープンしました。
ここはパナソニックのAV(音響・映像)機器製造の本拠地だった本社南門間地区。私も仕事で何度か訪れたことがありました。この16万平米という広大な土地を三井不動産が取得して開発を進めてきたのです。
SC出店成功の鉄則は「市場性が高いかどうか」「優位性が明確かどうか」です。この2点をクリアすれば、戦略的優位性を確保できるので、出店の成功確率は高まります。
ららぽーと門真の特徴について、この2点から解説していきます。
(1):近隣集客と広域集客の両方が見込める商圏
門真市は、市単体の人口で見れば人口減少都市です。22年/15年の増加率はマイナス4.8%です。行政人口も12万人程度とさほど大きくはない都市です。
しかし、門真市は大阪市内への交通アクセスが良く、典型的なベッドタウンとして近年注目されています。地下鉄門真南駅までの周遊バスに乗るとよく分かりますが、施設から南側にかけて戸建て住宅やマンションなどが意外と多く、小〜大規模の工場だけではない近隣商圏の生活圏としての充実度合いが分かります。
施設から1キロ圏内の年齢別人口では、特に40〜50代の構成比が大阪府平均を上回っているのが特徴です。つまり、子育て世帯のファミリーを日常的に集客できる立地といえます。
29年には南部方面へ大阪モノレールの延伸も予定されています。また、ららぽーと門真直結のモノレール新駅建設も計画されています。
加えて、今回はアウトレットモールも入居しているリージョナル型SCですから、大阪市を含めた広域から集客することが可能です。その点で人口増加率の高い大阪市を近隣に持つ立地特性は大きなメリットがあります。
次の表は、政令指定都市の人口増加数ランキング(22年/15年)と、ららぽーとの運営母体である三井不動産系列の大型商業施設の開設状況です。
大阪市は、さいたま市、川崎市、福岡市に次ぐ人口増加率の高い都市です。しかも人口が圧倒的に多く、270万人を超える日本有数の都市です。この肥沃な商圏が視野に入っていたからこそ、開発が進んだといっても過言ではないでしょう。
(2):二刀流SCで優位性を築く
同施設の延床面積は11万6400平米、店舗面積は6万6000平米、駐車台数は4300台というリージョナル型SCです。店舗面積でいうとららぽーと福岡やEXPOCITYよりは小さく、ららぽーと名古屋と同規模です。
EXPOがテナント300店舗なのに対して、門真は251店舗 (ららぽーと門真153店舗、MOP 大阪門真98店舗)と少なめです。1店舗当りの売り場面積を大きめにとり、ゆとりある設計にしているのが特徴です。
この程度のハード面における工夫だけでは優位性があるとはもういえません。周辺には大型のイオンモールが複数あります(イオンモール大日、イオンモール鶴見緑地、イオンモール四条畷の3店舗で店舗面積20万平米強)。イオンモールに囲まれた商圏にららぽーとを出すのですから、イオンモールから一部の顧客を奪う形になります。その際に、イオンモールと同じ戦略をとれば確実に包み込まれます。そこで大きな差別化につながる施設戦略が必要でした。
それが、「ららぽーと+MOP」という2業態複合型の開発です。いわゆる「二刀流を売りにした施設」の誕生です。
現代のリアルな流通小売り業態で最強とされるこの2つが、クローズドモール(屋根付きの施設)の中で共存するのですから、集客コンテンツとしては最強といえます。
イオンの展開する越谷レイクタウン(埼玉県越谷市)に、イオンモールが運営するアウトレット「レイクタウンアウトレット」が展開されていますが、別棟での展開です。一つ屋根の下で共存するというのはかなりレアなケースなのです。
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