「バーニーズ」はなぜ苦戦し、売却されたのか かつてはバブルに沸いた日本を象徴する存在:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/4 ページ)
セブン&アイが、高級セレクトショップ「バーニーズ ニューヨーク」を運営するバーニーズジャパンを売却。日本に進出した当初は勢いがあったが、なぜ苦戦するようになったのか。
インバウンドを狙うか?
新しく親会社になるラオックスでは、秋葉原や大阪の道頓堀に店舗を持ち、免税店としてインバウンドに強いことから、インバウンドの顧客も狙っていくことになるだろう。
コロナ前、中国などアジア各国の富裕層が、日本で爆買いしていたときも、バーニーズジャパンの店舗はその恩恵を受けていなかった。だから赤字に転落していた。
ラオックスは、中国の家電量販・EC大手の蘇寧易購集団傘下のグランダ・マジック・リミテッドが、30.39%の株を持つ筆頭株主(22年12月期有価証券報告書による)。東日本大震災の影響を受けたラオックスは、2011年に蘇寧易購の傘下に入った。ラオックスも新型コロナの影響が大きく、19年12月期の年商1295億円が、22年12月期には551億円と半分以下にまで落ち込んでいた。何か、V字回復への起爆剤が欲しいところだ。
いずれにしても外資系の会社で、現在のラオックスは、家電の店から、ヘルスケア、化粧品、トラベル用品、民芸品などを販売する店へと大きく変貌している。バーニーズジャパンも、売れる店となるために、今後その姿を大きく変える可能性があり、波乱含みの展開になりそうだ。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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