「縮むニッポン」に適したビジネスは何か “盗まれない”最強の産業:スピン経済の歩き方(4/7 ページ)
人口が急激に減少していることを受け、さまざまなサービスが縮小している。多くの業界が厳しい環境に置かれているが、そんな中でも他国から「盗まれない」産業がある。それは……。
インフラを畳む日
現在、日本全国にはりめぐられされたインフラの多くは、人口が右肩上りで増えていく時代に整備された。インフラを保守点検する人員も、そのインフラを利用する住民も増えていたので、道路も水道も次々と整備されて、外食チェーンやコンビニも全国津々浦々に広がった。いわば、1億2000万人という人口規模にフィットしたインフラだった。
しかし、これからの日本は毎年、鳥取県の人口と同じくらいの人が消えて、70年には8700万人になる見込みだ。4000万人が消えていくのに、1億2000万人用のインフラが維持できるわけがない。保守点検する人員もないし、利用者もいない。だから、これからの日本は、人口増で広げたインフラを小さく畳んでいく、ということがメインテーマになっていく。
そこで問題となるのは、どうやってインフラを畳むかということだ。人間は一度味わってしまった「便利さ」はなかなか捨てられないので、インフラの「質」を落とすということはできない。蛇口をひねれば当たり前のように水が出て、いたるところで電話が通じてWi-Fiが飛んで、ネットでポチッとしたものが自宅に届くこの便利なインフラを手放すことは不可能だ。
しかし、現実的に人口が減るので現状維持はできない。となると、残された道は「範囲」を狭めていくしかない。市街地でも農村地帯であっても、住民はなるべく集まって生活をしてもらうのだ。
このような「生活エリアの集中化」が進んでいけば、電気水道などの生活インフラや、医療や介護などの公共サービスも少ない人員で効率的に回せる。これは荒唐無稽な話でもなんでもなく、1990年代から人口減少対策のひとつである「コンパクトシティ」という構想がこれにあたる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
バーガーキングがまたやらかした なぜマクドナルドを“イジる”のか
バーガーキングがまたやらからしている。広告を使って、マクドナルドをイジっているのだ。過去をさかのぼると、バーガーキングは絶対王者マックを何度もイジっているわけだが、なぜこのような行動をとるのか。海外に目を向けても同じようなことをしていて……。
ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
「乃が美」と「いきなり!ステーキ」の共通点は何か 両社がハマった沼
「乃が美」と「いきなり!ステーキ」が苦戦している。贅沢品を扱う両社はなぜ低迷しているのか。共通点を探してみると……。
キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。
