「粉飾」「業法違反」などコンプラ違反倒産が急増 過去最多を更新した背景は?:帝国データバンク調べ
コンプライアンス違反による倒産が増加している。帝国データバンクの調査によると、2022年度に発生したコンプライアンス違反倒産は300件。05年4月の集計開始から最多だった15年度(289件)も上回った。
コンプライアンス違反による倒産が増加している。帝国データバンクの調査によると、2022年度に発生したコンプライアンス違反倒産は300件だった。2年連続で前年度を上回った他、05年4月の集計開始から最多だった15年度(289件)も上回る結果となった。
同社では、架空の売り上計上や融通手形といった「粉飾」、過積載や産地偽装などの「業法違反」、所得・資産の隠蔽といった「脱税」などのコンプライアンス違反が判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産」(以下、コンプラ違反倒産)と定義した。
業種別では「サービス業」が最多
業種別にみると、「サービス業」が88件(構成比29.3%)で全体の約3割を占めた。21年度と比べて件数が増加したのは、「建設業」「運輸・通信業」「サービス業」「その他」の4業種。中でも「サービス業」は53件増(増加率251.4%)、「運輸・通信業」は28件増(同207.7%)だった。
「粉飾」「業法違反」の他、「不正受給」が目立つ
違反類型別でみると、「資金使途不正」が69件(同23.0%)で最多となった。以下、「粉飾」が62件(同20.7%)、「業法違反」が61件(同20.3%)で続いた。また、コロナ禍で雇用調整助成金など各種助成金などの「不正受給」による倒産は12件で、前年から倍増した。
粉飾を業種別にみると「卸売業」が構成比33.9%と高く、架空取引や融通手形を使用していたケースが目立った。業法違反では「運輸・通信業」が同60.7%と突出していて、長時間労働など違法な営業活動が発覚して行政処分を受けた企業が多かった。
帝国データバンクは、「コロナ禍での各種支援に支えられて倒産件数は抑制され、コンプラ違反企業も表面化しづらい状態が続いていた。しかし支援策の段階的な終了に伴い、コンプラ違反が露見するケースは増加傾向にある。今後も厳しい経営環境のなかで、企業存続のためコンプラ違反に手を染めていた、あるいは染め始めるケースが表面化していくことが考えられる」とコメントした。
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