電気代高騰でマンション管理費が上がる? タワマンでは深刻な問題に(2/3 ページ)
高騰する電気代が家計を圧迫している。個々の家庭だけではなく、マンションの管理組合も、想定以上の電気代高騰で収支が合わなくなるところが続出。電気代高騰が与えるマンションの管理費への影響を調べ、新築マンション購入時に覚えておきたいチェックポイントを解説する。
例えば、共用廊下の照明を減らす(電球などを間引きするなど)ことや、内廊下の空調を夜間停止する。夜間はエレベーターの稼働台数を減らすことも実際に行われている。
細かな節約で、可能な限り電気代を節約するわけだ。
順当な対応策だと思われるが、実はこの節約、住人全員の賛成が得られるわけではない。というのも、住人のなかには「毎月の管理費が上がっても、これまで通りの生活をしたい」「節約することでマンションのイメージが落ち、資産価値が下がるのは避けたい」という意見があるからだ。
そういった意見が多いマンションでは、電気代高騰による管理費の値上げがすでに行われていた。すべてのマンション管理会社に聞き取り調査をしたわけではないので、あくまでも参考数値だが、すでに半数程度のマンションで管理費の値上げが実施された、もしくは実施予定という管理会社があった。
管理会社によって値上げが強行されたわけではない。あくまでも、住人の合意で値上げが容認されているケースが一定数あると考えられる。
マンション管理に関する記事では、「管理費の値上げを容認するマンション住人など1人もいない」という論調が目立つが、実際には「住み心地や安全重視で、そのために必要な管理費値上げならば、やむなし」と考える住人もいて、その比率は決して少なくないのだ。
もちろん、値上げを喜ぶ人はおらず、管理会社の努力が足りないと怒る人もいる。マンション管理にはいろいろな考え方があるわけで、そこが「管理」のむずかしさといえる。
そのため、最新のマンション管理では「ある程度のお金を出しても、満足度の高い管理を求める」人が多いケースと「管理費用を極力抑えるため、できることは住人たちで行う」という人が多いケースがあることを理解し、マンションごとにふさわしい管理サービスを提供する方向に進んでいる。
「満足度の高い生活を維持するため、ある程度の出費は仕方がない」と考える人の多いマンションでは、すでに管理費の値上げが行われている。
それが、実情なのである。
新築分譲時に提示される管理費は、どの時点の電気代で計算?
もうひとつ、電気代高騰による影響が出ると考えられるのが、これから販売されるマンション、特に超高層マンションの管理費設定だ。
新築マンションは販売時に「入居後の管理費」を提示されるのだが、現在の電気料金を基に計算すると、管理費がこれまでより高くなってしまう。
超高層マンションの場合、管理費がもともと高く、70平米の3LDKで管理費が3万円を超えることがある。それが、電気代高騰によって数千円上がる可能性があり、毎月のランニングコストが高い、といわれかねない。
その解決策として、管理費のうち電気代を実費として別途請求する方法も検討されている。それなら、電気代高騰の影響がわかりやすいし、電気料金の変動により、月ごとに上げたり下げたりできる、という利点もある。
しかし、この方法だと、電気代が毎月変わり、その引き落とし処理が大変になるなど、いくつかの問題が想定されて実現の見通しは立っていない。
そのため、今後は新築分譲時に説明なしで管理費が高くなっているマンションが出てくるだろう。高くなった管理費を見て「このマンションはパス」とする人も出てきそうだ。
が、その前に考えたいことがある。
それは、高くなった電気料金を基に計算を行い、その数字から管理費を算出することは、“正直さ”の表れといえるからだ。
それより困るのは、電気代高騰を無視し、これまでの電気代から管理費を算出するケース。その場合、実際の生活が始まってから、管理費の値上げが持ち出される可能性がある。
つまり、どの時点の電気代で管理費を計算しているか、は不動産会社の誠意を確認できるポイントとなってくる。購入時にぜひ聞いておきたいところである。
他に、管理費に関して“正直”な不動産会社を見極める方法はないか。
ここで、ひとつ多くの人が知らない事実を明らかにしたい。
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