電気代高騰でマンション管理費が上がる? タワマンでは深刻な問題に(3/3 ページ)
高騰する電気代が家計を圧迫している。個々の家庭だけではなく、マンションの管理組合も、想定以上の電気代高騰で収支が合わなくなるところが続出。電気代高騰が与えるマンションの管理費への影響を調べ、新築マンション購入時に覚えておきたいチェックポイントを解説する。
駐車場の稼働率設定で管理費が変わる、という事実も
多くの人が知らない事実とは、新築分譲時にマンションの管理費をいくらにするかは、駐車場に関してどのような見通しを立てるかによって変わるということだ。
例えば、駐車場の稼働率(どのくらいの割合で借りてもらえるか)を高く見積もれば、毎月の管理費は安く算出できる。駐車場から入ってくるお金が多いので、毎月の管理費は安くしても大丈夫、というわけだ。
逆に、駐車場の稼働率を低く見積もれば、毎月の管理費は高くなってしまうのだが、その場合は駐車場利用者が減っても大丈夫という利点がある。どちらの算出方法をとるかは不動産会社によって異なるのだ。
稼働率を低く見積もる不動産会社の場合、駐車場稼働率を5割程度に見積もることがある。今、首都圏、近畿圏では全戸分の駐車場を敷地内に用意するマンションが減り、多くても7、8割のことが多い。
全100戸のマンションの場合、70台分か80台分の駐車場を設置するのである。その稼働率を5割に見積もる、ということは、70台分か80台分のうち、実際に借り手がつくのは35台か40台……そのような状況になっても大丈夫なように管理費を算出するわけだ。
駐車場が少ない超高層マンションの場合、全住戸の3割程度しか駐車場は用意されないもの。その場合、駐車場はフル稼働するのが普通なのだが、厳しく見積もる不動産会社では、超高層マンションの駐車場稼働率も5割〜7割程度で計算する。
駐車場の稼働率を低く見積もる慎重型の不動産会社の場合、電気代高騰を勘案すると、毎月の管理費はますます高くなってしまう。が、入居後の不安は少ない。これも、“正直”ポイントに加えてもよいだろう。
つまり、これからマンションを買う場合は、単に管理費の額を見るだけでなく、現在の電気料金を基に算出しているのか、そして、駐車場稼働率をどれくらいに見積もっているのかを確認しておくことが大切となる。
管理費が安く設定されていても、古い電気料金を基に計算してあったら、入居後に管理費が上がる可能性がある。
また、駐車場の稼働率を高く見積もっている場合、将来、駐車場利用者が減ったときにも、管理費が上がるリスクが生じる。
「いつの電気料金を基にしているか」と「駐車場の稼働率想定」は、タワマンだけでなく、新築マンション全般の購入時に大事なチェックポイントとなるのである。
著者プロフィール:櫻井 幸雄(さくらい・ゆきお)
住宅評論家。全国の住宅事情に精通し、現場取材に裏打ちされた正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞で連載コラムを持ち、Yahoo!ニュース「個人」でも住宅コラムを連載中。テレビ出演も多い。『買って得する都心の1LDK』など著書多数。代表作は『不動産の法則 誰も言わなかった買い方、売り方の極意』(ダイヤモンド社)
ヤフーニュース個人:「櫻井幸雄の住宅・現場主義」
公式サイト:住宅評論家 櫻井幸雄の経歴と活動内容
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