「晴海フラッグ」にも? マンション転売ヤーに、昔からおばあちゃんがいる理由(4/4 ページ)
「HARUMI FLAG」の旧・選手村マンションが大人気のうちに完売。転売目的の購入者も多く、入居は来年3月の予定なのに早くも売り物が出ている。“転売ヤー”行為は、昭和時代から行われていて、高齢のご婦人も交じっている。知られざるマンション転売の一端を解説したい。
今も、元気に活動するおばあちゃん転売ヤーも
おばあちゃん転売ヤーは、その後もそこかしこでみかけた。
マンション価格上昇期になると、値上がりしそうなマンションをせっせと物色するおばあちゃんには2つの特徴がある。
1つは、夫に先立たれ、遺産として現金を多く所有していること。現金を金融機関に預けても今は利息が期待できない。かといって、リスクのある投資は避けたい。そこで、安全確実に資産を増やすことができるマンションを狙うわけだ。
2つめの特徴は、生活を守るために賃貸経営を行っている人が多く、もともと不動産に関する知識が豊富なことを挙げるべきだろう。
「儲かるから」と人に勧められて、何も知らない不動産投資を始めるわけではない。勝手知ったる世界なので、自信を持って購入・転売を行うわけだ。
あまり欲を出さず、少しだけ(といっても、うらやましい額を)儲けて、旅行や観劇を楽しみ、また儲かりそうな物件を物色する……そのようなことを行う高齢のご婦人はいつの時代も一定数いる。
その元気な様子や抽選に外れてがっかりしている姿をみると、転売ヤーといっても憎めないなあと思ってしまうのである。
著者プロフィール:櫻井 幸雄(さくらい・ゆきお)
住宅評論家。全国の住宅事情に精通し、現場取材に裏打ちされた正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞で連載コラムを持ち、Yahoo!ニュース「個人」でも住宅コラムを連載中。テレビ出演も多い。『買って得する都心の1LDK』など著書多数。代表作は『不動産の法則 誰も言わなかった買い方、売り方の極意』(ダイヤモンド社)
ヤフーニュース個人:「櫻井幸雄の住宅・現場主義」
公式サイト:住宅評論家 櫻井幸雄の経歴と活動内容
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