“香川県行き”なのに ジャンボフェリーあおいに「うどん禁止?」マークがある理由:宮武和多哉の「乗りもの」から読み解く(1/3 ページ)
ジャンボフェリーあおいに「うどん禁止?」マークがある。うどんが名物の香川県に行くフェリーが、うどん禁止? 理由を聞いた。
「県民一人あたり、年間でうどん230玉(全国平均の4倍)を消費」「県外からの観光客は半数以上が“うどん目的”」――四国・香川県と聞いて多くの人々が思い浮かべるのが「讃岐うどん」であることは疑いない。
その香川県に向かう「ジャンボフェリー」(神戸・三ノ宮港〜小豆島・坂手港、高松東港)の新造船「あおい」の船内に掲げられたピクトグラムが「うどん禁止」にも見えると話題を呼んだ。うどんが名物の香川県に行くフェリーが、うどん禁止?
とはいっても、このマークは「船内で提供されているうどんを、客席に持ち込むことを禁止」するもの。実際にはうどんを食べるための専用スペースがちゃんと確保されている。
ピクトグラムの解釈のされ方は想定外であったようで、ジャンボフェリーの大森俊三・神戸支店長も「もっと新造船に関することで注目されたかった」「むしろ不本意であった」と話す。
しかし「うどん禁止」マークを記念撮影し、ついでにうどんを頼む人は今も見られ、SNSを通じて思わぬ形でジャンボフェリーが知られるきっかけになっているのも確かだろう。
なお、「あおい」は有料座席エリアへの入退室をQRコードで管理しており、持ち込もうとすると、「アツアツのうどんを片手に持って、片手でコードをかざす」という、とてもアクロバティックな動きが必要になる。大森さんによると「今までうどんを客席に持ち込んだ例はありません。皆様、ルールを守って食事スペースで召し上がっていただいております」とのことで、「うどん禁止」が破られる心配はなさそうだ。
大幅リニューアルをした新造船「あおい」
2022年10月に就航したばかりの新造船「あおい」は、このうどん店(カフェ「ふねピッピ」)の他にも、これまでのジャンボフェリーのイメージを一新するリニューアルを行っている。
例えば有料座席はクッション材に新幹線・N700 系グリーン席などと同じ「ブレスエアー」を採用した「コンフォートリクライニング」、瀬戸内海を一望できる「のびのびバルコニー個室」など、利用人数に合わせて10種類もある。今までのジャンボフェリーの船室からすると、信じられないほどの快適さで、開放感にあふれている。
なお先に述べた「うどん持ち込み禁止」は、うどん出汁(だし)などからシートを守るという目的もあるのだとか。
ジャンボフェリーの新造船「あおい」は、なぜここまで大幅なリニューアルを行ったのだろうか。
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