なぜマイナカードでトラブルが起きているのか 原因は5つ:検証不足(3/5 ページ)
マイナカードに関連するトラブルが頻発している。その多くは、きちんと事前に検証しておけばこんな大事にならなかったのに、と思われる問題ばかりだ。
これらの問題に対して政府は、調査や特定、個別対応と通知、システムの改善、情報公開と意識啓発などの対策を打つと報道されている。当然だろう。
確定申告の還付金の受取口座の登録がそもそも間違っていたケースはデジタル庁の責任ではない。そしてコンビニ交付サービスでの誤交付ケースは確かにシステム不備だが(これは改修済だそうだ)、それ以外の大半は人為的ミスによるものとして、河野大臣はそれらに関しては「システムそのものの問題ではない」と庇っていた。
しかしそもそも、こうした国民の多くがユーザーとなる手続きをシステム化するなら、そうした人為的ミスがあっても登録完了前に(エラーになるなど)気づきやすいようにシステム上の工夫をしておくのが当たり前なのに、それができていないのだから許されるものではない。
こうやって整理してみると、事前の検証にてカットオーバー(正式開始)までに徹底的に潰しておくべき問題が大半である。端的に言って、検証不足のままOKを出してしまった役所の大失態である。
小生はITコンサルタントではないが、事業の開発や立て直しのプロジェクトでは新たなシステム構築は今や必須なので、こうしたシステム開発を依頼したり依頼を支援したりすることがよくある。
そこで登場するのがB2B(対事業者)やB2E(対従業員)システムの場合、単体テスト〜統合テストを経てカットオーバーを迎えるのがごく普通だ。加えるとしても精々、システム開発事業者にほぼ丸投げで開発した場合に、引き渡しの際に検収テストを行うくらいだ。
この際のテストというのはいずれもテストシナリオに則って粛々と行うものなので、人為的ミスを完全に洗い出すことは難しいことが経験上分かっている。その分、稼働後に多少の不具合が判明して、それに対処せざるを得ないことをある程度は織り込んでいる。それでもユーザーは身内や業務担当者など、「純粋な素人」ではない人たちなので、対処できるものだ。
しかし、このマイナカードのシステムのように、一般大衆と様々な役所の非システム担当者がユーザーであり、かつ個人情報を扱う大規模システムの場合、テストが終わったからといってすぐにカットオーバーしてはいけない。
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