スシローは「6700万円の損害賠償請求」を止めるべき、3つの理由:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
回転寿司チェーン「スシロー」を運営する「あきんどスシロー」が揺れている。備えつけの醤油の差し口や湯呑みを舐めまわしていた岐阜県の少年に対して、約6700万円の損害賠償を求めていることが明らかに。この対応は「吉」と出るのか、「凶」と出るのか。
「さすがスシロー! ああいうバカは一生かけてでも罪を償うべきだ」
「いいぞ! こういう毅然とした対処をする企業が増えれば、外食テロもなくなっていくぞ」
ニュースを聞いて、胸がスカッとした人も多いのではないか。
ちょっと前に話題になった、回転寿司チェーン「スシロー」で備えつけの醤油の差し口や湯呑みを舐(な)めまわしていた岐阜県の少年に対して、運営会社の「あきんどスシロー」が約6700万円の損害賠償を求めていたことが分かったのだ。
報道によれば、スシロー側はこの少年の動画によって、「全国の店で客が大幅に減ったうえ、会社の衛生管理への信用が損なわれた」と主張しているという。つまり、いくら子どもとはいえ、大損害をもたらしたワケだから、一生かけてでもその罪を償えというわけだ。
この対応については既にいろいろなところで議論になっている。個人的な見解では、スシロー側の主張はしごく真っ当であり、世界の常識に照らし合わせても特段、厳しい対処ではない。本人以外にも動画を撮影して、SNSにアップした者も含めて、それなりのペナルティーを受けるべきだと思う。
ただ、企業危機管理の観点から見ると、それはあまりのいい選択ではない。筆者はこれまでさまざまな企業の不祥事やこの手のSNSトラブルなどの対応をしてきたが、もしスシローがクライアントだったら、この損害賠償請求をすることを止めていた。なぜかというと、主に以下の3つの理由からだ。
(1)「スシロー低迷は迷惑動画だけが原因か」という議論が盛り上がってしまう
(2)少年側に賠償金を払わせても、「スシローは安全」というイメージが回復しない
(3)スシローが「異物混入」「食中毒」などを起こすと、これまで以上に厳しく叩かれる
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